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会長挨拶

このたび6月9日の定時社員総会と総会時の理事会において、照明学会の会長に選任されました。設立以来百年近い歴史と伝統のある学会の会長に選ばれたことは大変光栄なことであり、また同時に責任の重さを感じているところでございます。

さて、この百年の歴史はエジソンによる白熱電球の発明に端を発した「電気のあかり」の普及促進と共にありました。先人の絶え間ない努力により、それは「電気をつける」=「明かりをつける」という新たな日本語として定着し、近代文明・文化を育んできました。白熱電球後の光源の進化は蛍光灯、高輝度放電灯と続き、近年のLEDで一つの完成形をみた感があります。また、省エネルギー対策でもLED照明が重要な役割を果たすことは異論のないことと思いますが、エネルギー依存のライフスタイルの脆弱さは、千年に一度といわれてきた東日本大震災でも身をもって知らされました。2011年3月11日、私自身、仙台市内のホテルでの研究報告会の最中で、天井のシャンデリアの落下を恐れながら机に身を潜めていたこと、その後の数週間に及ぶ停電断水の暗闇の日々、その中でしみいるような星々の輝き、などを鮮明に覚えております。あの巨大地震による東日本大震災から4年の歳月、震災規模からすればまだまだわずか4年、復旧未だ道遠い状況はむしろ当たり前であり、震災を昔語りにした「未来への復興の道に邁進する」感覚ではなく、まだまだ国を挙げて復旧支援を続ける心根が大事かと思っております。

エネルギーの使用量を地球規模で推し量るとき、照明学会設立当時の人々が100年間で使用してきたエネルギー量を、現代の私たちは1年で使い果たしている、とのデータも出されており、エネルギー問題、それに伴う省エネルギー対策はこのような逼迫感を背景に考える必要があるのではないでしょうか。

照明の世界では、LED照明に代表されるSSL(Solid State Lighting)へと光源が変貌するなかで照明におけるLED化率はすでに日本が世界のトップとなっているようです。今後は、LEDの時間即応性を活かし、従来の固定的・静的な照明から照明の「時空間」制御の時代に入っていくように見受けられます。産業界においても、光源(ランプ)や照明器具における互換性維持や国際標準化における指導力発揮の点などから電球、照明器具の両工業会が合併し2013年に日本照明工業会を立ち上げておりますが、今後は一層パワーエレクトロニクス技術とソフトウェア技術の融合により、照明空間における光の空間分布制御のみならず、時間軸上における「高速光束制御」が時代の変革をもたらすのではないでしょうか。

私たちを取り巻くこうした環境の変化に対し、来年2016年に創立百周年を迎える照明学会が、いかに対応し、魅力的であり続けるかは皆様の活動にかかっておりますが、同時に動植物を含めた生体に対する照明の生理的効果・影響や、ヒトに対する心理的快適性や社会的安全・安心に関する議論を有機的に行える場の提供をこれまで以上に強化していく必要があるとおもいます。同時にこのようなテーマの研究者・関係者に数多く本学会に参画していただくことが喫緊の課題かと思います。

さらに、国際化に対応し、国際会議の会議や参加を積極的に推進するとともに、国際活動委員会関係者のご尽力により、積極的な会員各位の参加をお願いし、最新研究発信、若手育成、国内外の他団体との連携強化につとめ、国際規格化活動などにおけるイニシアティブをとって活動していきたいと思います。

先ほども述べましたように、2016年に照明学会は百周年を迎えます。この節目にあたり、照明の変遷を振り返り、諸先輩方の業績・考え方を学び、現時点への必要な投影を行うべく、準備が進められております。現在の照明技術の課題を明らかにし、多くの方々のご協力を得ながら、よりよい照明を追い求め学会のプレゼンスのさらなる向上をめざして進めていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願い致します。

一般社団法人に移行後3年を経過し、新たな体制のブラッシュアップをおこない、学会運営の基盤充実に着実に取り組んでいく時期と認識しております。照明学会をよりよい会員の育成・成長の場とし、学会活動をそのための支援・奨励の場にして発展させていくため、会員の皆様のますますのご理解とご協力を賜りますよう、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

平成27年6月

照明学会 会長 松木英敏

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