写真1 スポンサー看板全景(フィールド照明+看板照明点灯時)
本競技場は、2002年ワールドカップの決勝戦の舞台に選ばれた、7万人収容の世界規模のスタジアムである。
サッカーのみならず、世界陸上・国体・コンサートなどの、多種イベントに対応した構造、設備を兼ね備えている。
スポンサー看板は、観客席外周上のバルコニー前面(写真1、写真2、写真4)に設置されている。今までは、フィールド照明の余光のみで照明していたが、スポンサーの意向により看板を綺麗に鮮明に見せるために、屋根先端のキャットウォークに投光器を設置し(写真3)、看板を照射することにした。投光器はマスクにより照明範囲を調整できる特殊な構造で、必要以外の範囲をカットし漏光を抑えることができる。
写真4 スポンサー看板全景(看板照明点灯時)
コンパクトで平均演色評価数(Ra)96の150W高演色メタルハライドランプを採用し、看板の色や図柄を忠実に再現している。ランプ光束12700lm、色温度4200K、寿命6000時間、発光管がセラミックであるため色温度の寿命による変化がほとんどない。メンテナンス面では、内照式は高位置にあるため蛍光灯の交換が非常に困難であるのに対し、投光器は交換可能な位置に設置しているため容易にでき、ランプ1つの交換で済むため非常に経済的である。
投光器はレンズ(凸レンズ)、マスク、光源部分から構成されている。マスクを調整することにより、必要範囲外をカットし漏光を抑えることができる。その範囲は、バックスタンド側の投光器は、左右・上下各7.5°、サイドスタンド側は、左右・上下各12.5°である。
競技場には合計22枚のスポンサー看板が設置されており、1枚9m×2mの看板を投光器2台で左右半分ずつ照射し、実測照度は平均340~400lxが確保できた。
※本文は照明学会誌85巻 第9号 2001年9月「照明のデータシート」より引用しています。学会誌にはさらに投光器取付断面図や照度分布図が掲載されています。