写真1
那覇港臨港道路に架かる泊大橋は、泊埠頭の港口に位置し、海面上約35mをまたぐ鋼床版形式としては沖縄県最大級である。カラー歩道、展望バルコニー、パネル高欄など景観的な配慮をし、那覇港のシンボルとして、そのスレンダーな姿は周囲地域住民や通行者から親しまれている。
現在「泊大橋」周辺では、那覇新港埠頭での「那覇ハーリー」や、波の上海岸での「NAHAシーサイドフェスティバル」などのイベントの開催、泊埠頭の再開発による「とまりん」のオープンなど、レクリエーション・親水空間が創出されつつある。
また、周辺離島とのマリンネットワークによる観光拠点としての重要度も高まり、人々の往来も増えると思われる。
よって昼の「泊大橋」のダイナミックな景観に加え、夜の景観の創出のため、那覇港のシンボルとしてふさわしい景観照明の計画がされた。
泊大橋の景観照明は、平日、祝日、イベント日を時間により、橋体の色彩を変化させる方法を用いた。
基本シーン(常時点灯)は基本テーマである「竜宮の門」を創出させるため、爽やかな「白色」を選定した(写真2)。
演出シーン(演出時点灯)は、沖縄らしい色として、海の色、ティーダ(太陽)の色、生物の色など様々な色を作り出すことを選定した(写真1)。
照明手法は照明効果とメンテナンスなどを考慮し、橋脚の張り出し部分と橋梁下からの投光照明とした(写真3)。
橋脚照明用投光器は、橋脚を均斉度よく照らし出すことを考慮し、橋体下の検査路に設置し、橋脚より離れた場所より橋脚を照らし出す方法とした。
景観照明の明るさの設定は、輝度分布(写真測光法)により、周辺環境の輝度データを測定した結果、CIE(国際照明委員会)の投光照明の明るさの基準により「周囲が暗い場合」の4cd/平方メートルを採用した。使用光源としては、常時点灯用に橋体、橋脚を照らし出すためパワー(光束)や、経済性(効率)を考慮し、橋体の色であるシルバーグレーを美しく浮かび上がらせるメタルハライドランプを採用した。
また、演出用の光源としては、カラー演出(RGBフィルター使用)による色彩の変化や光の動き(調光)を考慮し、ハロゲン電球を採用した。
※本文は照明学会誌第84巻 第6号 2000年6月「照明のデータシート」より引用しています。学会誌にはさらに照明設備配置図や照明設備一覧が掲載されています。