会長挨拶

照明学会 会長 鎌田 憲彦

2021年6月11日の定時社員総会において照明学会会長に選任されました鎌田です。
照明学会は創立105年という伝統に立脚しつつ、わが国を発祥とする固体照明光源による世界規模での学術・技術革新と共に歩んでおります。LEDを始めとするSSL(Solid State Lighting)の普及と進展は省エネルギーのみにとどまらず、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)に沿ったより機能的・本質的なスマートシステムとしての地域・社会の将来像へと繋がっています。こうした先導的な科学・技術の推進と学術調査から日々のライフラインを支える地道な活動、そして人々の心を動かすartの深淵までを包含する、まさに分野横断的でユニークな学会ということができます。豊島前会長の後を受け、皆様方と共に照明学会の活動をさらに進めるために力を尽くさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

2016年の創立100周年に際して、私たちは「情報通信技術の普及と産業・経済のグローバル化、地球規模での環境・エネルギー問題、人口減少と高齢化社会など、人類が向かうべき方向性の模索と日本が取り組むべき課題の解決を目指し、世界の変化に対応しながら照明に関する学理とその応用に関する調査や研究に先導的に取り組み、広い視野からの融合・連携を通じて学術・技術・文化および関連事業を振興し、次世代の人材を育成するとともに人類と社会の持続可能な発展に寄与する」という長期ビジョンを掲げました。その実現に向けたマスタープラン(2016-2021年中期ビジョン)として、戦略的活動の推進、財政基盤の強化、的確な情報発信、グローバル化への対応、会員サービスの充実、学術的・人的資産の活性化と育成を6本の柱としました。2021年度、2022年度はその総括と刷新の時期です。照明のSSL化においてわが国は既に世界の先端を走り、量から質へ、IoTを踏まえたシステム化、人の心に寄り添う照明へと科学・技術のさらなる進展を図っています。会員相互の情報交流を深めて専門性を育み、国際社会と協調して知の普及や標準化に貢献しながら、次の100年に向けた歩みを継続してまいります。

改めて申すまでもなく、グローバル化の道を突き進んできた世界はCOVID-19により深刻な打撃を被りました。ここ1年でリモートワーク、オンラインでの会議、授業が広がり、国際会議や全国大会、研究会もオンライン開催でした。私たちはこれらが従来の時間的・空間的制約を取り払ったという事実に目を開かれると同時に、「やはり対面でなければできないこと」にも気付かされました。ワクチン接種に伴ってPandemic(流行病)はendemic(インフルエンザのような常在病)へと移行しますが、COVID-19によって私たちが得たものは決して少なくはありません。これからの世界はそれ以前とは明らかに異なります。世界の未来予測が様々な立場からなされていますが、それら複数の予測で特徴的なことは、未来はこのままでは決して楽観的なものではないということ、そして「危機的な未来」とそれを克服した「希望的な未来」との分岐点が今なのだという認識です。

脅威はある日突然やって来るものではなく、全ての事象にはその源があります。人類は長い年月をかけてその関係を学んできました。謙虚に自然に学び歴史を学び、不都合を忘却の彼方に押しやりつじつま合わせに終始するのではなく、勇気を持って真実に向き合い人智を賭して解決の道を探ることが、今後の人類社会を永続させるための鍵となるでしょう。様々な情報の氾濫・錯綜する現代社会において、そのために学会の果たす役割はますます重くなっていると言えるのではないでしょうか。そして学会活動のエネルギーの源は、そこに集う方々の熱意と知的好奇心です。道しるべの灯に向かって歩む今こそ、私たちは「人と人との交流」の意味を真摯に捉え、世界に知の情報を発信しながら希望の光に満ち溢れた未来に向かう道を歩む必要があります。照明学会は広い領域の方々が集う、activeで有益な交流の場となるべく活動を続けてまいります。皆様方の積極的なご参加、ご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。

令和3年(2021年) 6月11日 照明学会 会長 鎌田 憲彦

PAGE TOP