未来を照らす照明学会の新たな針路と進路
照明学会 会長挨拶

2025年6月6日の定時社員総会において、照明学会の会長に選任されました伊藤義剛と申します。109年目を迎える歴史と伝統ある学会の会長職を拝命することは、大変光栄であるとともに、その責任の重さを痛感しております。古莊前会長が築かれた成果を大切にしながら、会員の皆さまと共に学会活動のさらなる発展に努めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
現在、私たちを取り巻く社会は、気候変動や人口動態の変化、エネルギー問題に加え、自然災害への備えといった喫緊の課題に直面しております。これらの課題に対応するために、当学会が果たすべき役割は、より一層、多面的かつ実践的なものとなってきます。照明の光は、明るさや快適さだけでなく、安全性や心理的安心にも寄与する重要な要素です。空間の質の向上やウェルビーイングの実現、そして持続可能な社会づくりに向けて、私たちの研究と実践が社会に与える影響は、計り知れません。照明学会としては、こうした時代的課題に向き合いながら、多様な視点を取りいれた研究支援、学際的な交流、そして次世代人材の育成に、より一層取り組んでまいります。
さて、照明学会は、第2期マスタープラン(2022年~2027年)として「ニューノーマル時代の学会活動再構築」を掲げています。2025年度は、次の3項目を最重要課題に据え、魅力溢れる学会の実現に向けて邁進する所存です。
① 学術研究の発表促進,学会員の人的交流やデジタル技術活用による学会活動の活性化
② 持続可能な地域活動・分科会活動の活性化と推進を実現するための方策検討
③ 適切な収支計画・運営計画に基づく財政基盤の継続的安定化を実現するための弾力的な方策検討
諸先輩方も幾度か触れておりますが、学術研究に携わる会員のみならず、実務の第一線で活躍されている会員が数多く在籍している点が照明学会の特長であります。学術研究と実務の橋渡しを担うこのような学会は稀有な存在であり、その強みを活かし、照明技術の課題・展望を明確にして発展させることで人類と社会に貢献してまいります。また、増え続ける訪日観光客のインバウンド消費の拡大を期待したナイトタイムエコノミーを推進するさまざまな施策にも貢献していきたいと考えています。
こうした社会的要請に的確に応えるためにも、また会員各位の活動を支えるためにも、学会運営の基盤強化も不可欠であると認識しております。学会活動を通じ会員各位の成長と支援の機会を提供し続けていく所存ですので、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2025年(令和7年)6月 吉日 照明学会 会長 伊藤 義剛