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照明デザイン賞受賞者一覧

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 照明デザイン賞は、光を素材とした、優れたデザイン的内容を持ち、創意工夫に満ちた作品を顕彰するものであり、近年、国内に竣工した空間に対する光環境や照明デザインにおいて、社会的、文化的見地からも極めて高い水準が認められる独創的なもの、或いは新たな照明デザインの可能性を示唆するもので、時代を画すると目される優れた作品を称え表彰するものです。

2017年 照明デザイン賞 講評

総評

 審査員は7名。1次で63件の応募作品を審査、2次で1次で選ばれた9作品を現地審査、3次で最優秀賞1件、優秀賞2件、入賞3件、審査員特別賞1件を選定した。前回を大幅に上回る様々なジャンルからの応募作品は、これまでの受賞作品のデザイン性の高さ、審査の公平性が評価された結果と受け止めたい。今回、ミニマムな光の構成で広場照明をデザインした最優秀賞の「南池袋公園」は、暗さも居心地の良さの一部であることを示した。

(審査員長 近田 玲子)

最優秀賞:南池袋公園

受賞者:  
平賀 達也  (株式会社ランドスケープ・プラス)
富田 泰行 (株式会社トミタ・ライティングデザイン・オフィス)
大岡 直美 (株式会社トミタ・ライティングデザイン・オフィス)
作品関係者:  
事業主: 豊島区都市整備部
公園設計: 小林 亮太(株式会社ランドスケーププラス チーフデザイナー)
建築設計: 久間 常生(株式会社久間建築設計事務所 代表)

作品コンセプト:
 当施設は池袋駅に程近い繁華街に隣接する新しい運営形態を取り入れた都市公園である。豊島区は日本一の高密都市でありながら消滅可能性都市に指定された経緯があり、その逆境をバネに文化政策が打ち出され当公園の整備事業もその一環に位置づけられた。従来の公園整備とは異なり、都市経営の観点から民間活力を導入し、カフェの運営と維持管理の組織づくりなど官民一体となった体制をとっていることが大きな特徴である。
 「都市のリビング」を公園計画のコンセプトに据え、昼夜を分かたず市民が訪れ楽しく過ごすことができる空間をつくりだすことが求められた。
 夕暮れとともにゆったりとしたくつろぎの時間が始まる。既存樹を利用したテラスエリアのさくらんぼ照明、ステップフロアと手摺の間接光が人々を誘い、カフェの窓明りが公園の行灯的な役割を果たす。キッズテラスのリボンスライダーは少しの光で浮かび上がり公園のアイストップにもなっている。中央に広がる芝生広場に照明器具はない。照度基準のみに頼ることなく暗さの中にある安心や心地よさを引き出すことに注力した公共空間となり、サードプレイスとして夕刻以降の都市活用に一役買っている。

講評:
 光のデザインの力で公園の夜がここまで価値を高めることができる。そのことを万人に知らしめる為の優れた実例だ。審査員の満票でこのプロジェクトが最優秀賞に選ばれた。
 この公園がある豊島区は日本一の高密都市でありながら、2014年に東京23区で唯一の消滅可能性都市に指定されたそうだ。しかしその厳しい評価をバネにして、官民が一体となり「人が主役の街づくり」を掲げてこの計画が進められた。このような仕事は照明デザイナーの努力だけでは成就しない。このプロジェクトでは、志の高いランドスケープデザイナーと熱意あふれる行政担当者に恵まれ、通常では均整度のみが要求される公園照明の常識を大きく革新した。照明のない中央の芝生広場、既存樹を活かしたさくらんぼライト、高品質な手摺照明、キッズテラスの濃淡のある景色など。随所に「都市のリビング」をコンセプトにしたメリハリのある光環境が出現した。
 池袋の喧騒の向こうにゆったりと夜を寛ぐ公園がある。それだけで画期的な成果である。
(面出 薫)

優秀賞:ニフコYRP 風のプロムナード棟


撮影:小川 重雄

受賞者:  
越野 達也  (株式会社竹中工務店)
高橋 一哉 (株式会社竹中工務店)
中島 一秋 (株式会社ライティングシステム)
作品関係者:  
事業主: 小泉 貴志(株式会社ニフコ)
設備設計: 三島 広之(株式会社竹中工務店)

作品コンセプト:
 実験施設のエントランス棟。ウェーブする大屋根が特徴で、場所や機能に適した天井高を確保しながら、建物長手方向に流れる海からの卓越風を可視化したデザインである。コンクリート壁に沿ったライン状の光は建築の軸線を浮かび上がらせ、有機的なフォルムの大屋根を柔らかく照射する。建築と一体的に水盤を配し、照明効果が床面にも拡張するよう試みた。「建築全体が一つの照明器具」となり、地域に新たな光の風景を創出している。

講評:
 長さ75mの鉄筋コンクリート壁の上に、Tの字型に鉄骨屋根スラブが載るだけの、単純なヤジロベイ構造の建築である。照明計画も極めてシンプルで、正面壁を床からライトアップし、室内側では壁面上部に仕込んだライン照明で天井面を照らし上げて、水平線を強調する。場所に合わせて天井高を変化させ(2.1m〜3.5m)柔らかい曲面大屋根とし、海からの卓越風の流れを緩やかに表現する。機能は逆に複合的で、二棟の既設建屋を動線としてつなぎ、新実験棟のエントランスとラウンジを提供し、結果として本社全体の象徴的な顔づくりに成功している。中庭のボラード照明は不要であり、ディテールに修正の余地がある等の意見も出されたが、計画の初期から建築も構造も設備も、光も風も一体的に考え続けた若手設計者の熱意と、コンセプトをモノへと結実する力量に対し、今後の期待も込め高い評価が与えられた。
(植野 糾)

優秀賞:NIFREL(ニフレル)

受賞者:  
北村 仁司 (株式会社竹中工務店)
会津 寿美子  (株式会社トータルメディア開発研究所)
三島 立起 (株式会社ファースト・デザイン・システム)
作品関係者:  
事業主: 三輪 年(株式会社海遊館 代表取締役社長)
展示設計: 紀伊 健(株式会社トータルメディア開発研究所)
展示設計: 立花 弘章(株式会社ファイズデザイン)
照明設計: 國分 頼明(大光電機株式会社 TACT大阪デザイン課)

作品コンセプト:
 日本最大級の水族館「海遊館」を運営する株式会社海遊館が、大阪万博跡地に2015年11月開業した全く新しいコンセプトの展示施設である。従来の水族館とは大きく異なり、美術館、博物館、動物園、水族館などが融合した体感型ミュージアムとなっている。NIFREL(ニフレル)という名称は、「〜に触れる」に由来している。この施設を訪れる人々が生き物の不思議や神秘を体感し、「感性にふれる」展示空間を目指した。

講評:  
本施設は従来の水族館とは大きく異なる、美術館、博物館、動物園そして水族館が融合した体験型のミュージアムプロジェクトである。「〜に触れる」に由来した名前の通り、ここでの体験が「感性に触れる」ことを目指して造られている。プロローグは最初の展示室で色の変化に触れる空間、次は真っ暗な中に面発光した水槽が浮かび、天井はまるで星空のような姿に触れる空間。テラリウム栽培や飼育が可能なライティングとなっている水辺に触れる空間。水槽照明は配光制御された専用設計の器具で色温度と照度により生息水環境が表現されている。生き物に必要な自然光はトップライトや窓から取り入れられ、加えて人口光で時間の流れを作るプログラム制御を可能にしている。このように変化する空間構成はまるで一冊の図鑑を見るようである。照明デザインにおいては、暗さと明るさのコントラストやインタラクティブな照明を体験できることが評価されての受賞となった。
(松下 美紀)

入賞:軽井沢の大屋根

受賞者:  
戸恒 浩人  (有限会社シリウスライティングオフィス)
遠矢 亜美 (有限会社シリウスライティングオフィス)
作品関係者:  
事業主: 浅井 正士(株式会社コアシグナル)
建築設計: 広谷 純弘(株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ)
建築設計: 石田 有作(株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ)
建築設計: 堀部 雄平(株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ)
建築設計: 嵯峨 常功(株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ)

作品コンセプト:
 軽井沢の別荘地に佇む、一枚の大屋根が架けられた戸建住宅。屋根は四角い平面に対して対角線方向に傾いた、変形片流れの形状になっている。いくつかの照明手法を組合せ、主要な空間にまたがる変形勾配のルーバー天井を、美しく浮かび上がらせた。
 2層吹抜の解放感あるリビングでは、窓サッシ上に納めたナローとワイドの2種類の配光を重ねた間接照明により、天井と縦ブラインドを大きく照らし出し空間全体を包み込んでいる。

講評:
 美しい木ルーバーの大きな片流れの屋根は、開口部無目に仕込まれた間接照明によって美しく浮かび上がり、室内はそのやわらかな光でつつまれている。日除けためのバーチカルブラインドが夜は間接照明の光を受け空間を印象付ける光となっている。間接照明環境下の直接照明(ダウンライト等)の設置方法や生活との関係に若干の疑問が感じられたが、とかく大型施設が目につく本賞において、それらに劣らない住宅照明デザインである。 
(岩井 達弥)

入賞:デンソーグローバル研修所・保養所「AQUAWINGS」


撮影:フォワードストローク

受賞者:  
本間 睦朗  (静岡理工科大学)
池畑 善志郎  (株式会社YAMAGIWA)
鈴木 豊一郎 (株式会社日建設計)
作品関係者:  
事業主: 加藤 晋也(株式会社デンソー 人事部)
建築設計: 奥宮 由美(株式会社日建設計 設計部門)
建築設計: 眞庭 綾(株式会社日建設計 設計部門)
電気設備設計: 加藤 元紀(株式会社日建設計 エンジニアリング部門)
電気設備施工: 尾崎 将之(株式会社きんでん)
照明器具製造: 宮田 亜希子(株式会社YAMAGIWA)
照明制御施工・調整: 神藤 善行(神田通信機株式会社)

作品コンセプト:
 AQUAWINGSは周辺景観を内部デザインに取込んで、視覚的に一体化することを意図した。併せて、人間が本来有している余剰な光を嫌う感覚を呼び覚ますことも狙った。
 余剰の排除が結果的に施設の省エネルギーに結び付くこと、さらには、人々がこの施設内に住まうことで呼び覚まされるであろう、余剰を嫌い陰影を礼賛する人間本来の感覚が、自宅などに戻った後にも、いわゆる環境配慮に姿を変えることも期待している。

講評:
 浜名湖を望む眺めの良い敷地を生かした柔らかい意匠の建物に調和するように計画された照明が、心地よく印象的な空間を生み出している。特にアトリウムのトップライトから木漏れ日を模した光の効果を生かすための昼光連動制御は独創的かつ意欲的な照明手法として評価されよう。昼光と人工照明の併用のユニークな事例として注目されるに値する作品である。
(吉澤 望)

入賞:東広島芸術文化ホール くらら

受賞者:  
森 秀人  (株式会社ライティングM)
江越 充 (株式会社ライティングM)
作品関係者:  
事業主: 東広島市
建築設計: 佐伯 和俊(有限会社香山壽夫建築研究所)
建築設計: 長谷川 祥久(有限会社香山壽夫建築研究所)
建築設計: 曽田 峻(有限会社香山壽夫建築研究所)
建築設計: 角沢 聡子(有限会社香山壽夫建築研究所)

作品コンセプト:
 酒処・東広島市の中心部に位置する文化芸術施設。「こもれび広場」を中心に、大小ホール、市民ギャラリー、会議室等が備わる。
 日中は、なまこ壁をモチーフとしたカーテンウォールとルーバ―越しに、陰影のある光が降り注ぐ。一転して、夜には、建物全体が間接照明の光に包まれ行灯のように輝き、ランドマークとなる。自然光と人工照明の細やかな連携により、日常的で親しみやすい空間と誇らしいハレとなる場を同時に実現した。

講評:
 当該施設外観を構成するアルミルーバーには、なまこ壁を模した切込意匠があり、陽光がそこを通過し屋内床面にも菱形光模様が生まれるという自然光の巧みな取込がある。またホール壁面には、この地域に多く見られる赤瓦を想起する色彩が大胆に使われているが、それを印象的に照らし出すことで建物のランドマーク性を向上することに成功している。この施設は地域に開かれ積極活用されているが、照明がそれに寄与していると感じられる作品である。
(水馬 弘策)

審査員特別賞:太陽工業事務所・太陽工業御陵通給油所

受賞者:  
興津 俊宏  (株式会社竹中工務店)
森田 昌宏 (株式会社竹中工務店)
吉野 弘恵 (アカリ・アンド・デザイン)
作品関係者:  
事業主: 太陽工業株式会社
設備設計: 藤原 優也(株式会社竹中工務店)
施工者: 株式会社竹中工務店

作品コンセプト:
 ガソリンスタンドと財団事務所を、住宅地のスケールに馴染む建築群として計画。分散配置した庇は、全体に一体感を与えると共に、前面の桜並木へと続く街へ開けた雰囲気を創り出す。その鉄板格子庇を照らし上げ、明るさ感や広がりを創るアンビエントライトとし、床面を照らすタスクライトと組み合わせることで、高輝度障害を無くしながらも、店舗としてのアイキャッチを確保し、独自のアイデンティティを創り上げた照明計画とした。

講評:
 仁徳天皇陵に続く桜並木のある通りに、オフィスを併設したガソリンスタンドが建てられた。いつものお得意さまが暮らす住宅に囲まれていることから、過度な明るさを出さない配慮に加え、夜7時には閉店する潔さである。電球色のLEDを使い、ルーバー状の屋根に反射した間接光と、給油する人の手元を照らす直接光を組み合わせ、景観に配慮した柔らかく明るい一角をつくり出した。これまでに無いガソリンスタンド照明の出現である。
(近田 玲子)

 

2016年 照明デザイン賞 講評

総評

 審査員の構成や審査プロセスを刷新した照明デザイン賞の選考も、今年で第3回目を迎えた。回を重ねるごとに応募作品のレベルが向上し、賞の選考に対する期待の大きさを審査員一同が実感した。今年は7名の審査委員から3名が入れ替わったこともあり、現地審査の数も増やして熱のこもった審査が行われた。
 48の応募プロジェクトの中から現地審査対象の10作品を選出し、複数の審査員が分担して現地に赴き、写真撮影や照度測定なども含む詳細な検討を行った。最終審査会では様々な角度から議論をした結果、最優秀賞1、優秀賞3、入賞2、審査員特別賞1の7作品が投票と議論の中で選出された。最優秀賞は他を引き離す高得点であったが、他の6作品の得票差は僅差であり後の議論が伯仲した。本デザイン賞の審査基準に照合し、デザインの卓越性のみでなく時代に対する先進性(思想・文化・社会・技術的先進性)という点からの価値も語られた。7名の審査員の個性と責任感の強さには敬服した。(面出薫)

最優秀賞:みんなの森 ぎふメディアコスモス

受賞者:  
窪田 麻里 (株式会社 ライティング プランナーズ アソシエーツ)
山本 幹根 (株式会社 ライティング プランナーズ アソシエーツ)
中村 美寿々  (株式会社 ライティング プランナーズ アソシエーツ)

 建築が素晴らしい。そして、その建築に寄り添う光が美しい。開架閲覧エリアが広がる2階には、柔らかく波打つ木屋根の下に「グローブ」と呼ばれる直径8〜14mの半透明な笠が設えられ、一つの空間でありながらも開放的で多様な場所が生み出されている。この「グローブ」は、日中はトップライトから入る自然光の輝度を和らげ、夜間はLEDによる人工照明を柔らかく拡散する役割を果たす。2階のベース照明は昼光センサーにより「グローブ」を通して入って来る太陽光を主体とした昼間の明るさ、人工照明の明るさが増す夕方、人工照明だけの夜間と、時間の移り変わりに沿って調光される。照明と、建築、構造、テキスタイル、家具、サインとの、これ以上ない恊働により、「木漏れ日の差し込む森の中に明るい原っぱや緑の茂った木陰が共存しているように」「十分な机上面照度の明るい場所と落ち着いた影の場所」など、みんなを包み込む居心地の良い場所がつくりあげられた。
(近田玲子)

優秀賞:ロームシアター京都

受賞者:  
長谷川 祥久  (有限会社香山壽夫建築研究所)
下川 太一 (有限会社香山壽夫建築研究所)
森 秀人 (株式会社ライティングM)

 本施設は日本を代表する建築家である前川國男氏によって昭和35年に造られた京都会館を再整備したプロジェクトである。20世紀近代建築の価値を残し、老朽化した建物機能を刷新。一部を増築しながら建築意匠によってつくられた内装や素材を再生している。建築の歴史的また文化的な価値を継承させる光環境を目的に、スラブ天井や柱、床の煉瓦タイルなど既存の躯体を効果的に照らし、照明技法において当時の手法を残しながら最新の技術を取り入れている。昼の存在感がある建築外観は、夜は象徴的な大庇が水平ラインを光で強調し、ガラス張りの建物から漏れる優しい透過光が京都の夜の美しい景色を作っている。現地審査ではあるべき姿を再生することを重視するために、効果的な場所に照明器具を取り付けできないジレンマを垣間見たが、これから増えていく歴史的建造物の修復やリノベーション建築に対する照明手法の在り方に提言を投げかけたことが評価された。(松下美紀)

優秀賞:柏たなか病院

受賞者:  
松村 正人 (大成建設 設計本部)
井内 雅子 (大成建設 設計本部)
東海林 弘靖  (ライトデザイン)

 つくばエクスプレス、柏たなか駅前に建つ総合病院である。アトリウムを中心とした医療機能と通院機能との分棟配置は、柱梁のアウトフレーム構造や建築構成を素直に表現した外部照明とともに市民に分かり易く、新興地域のランドマーク形成に成功している。内部の照明計画では、徹底した間接照明や昼光利用、曲線状のコーブ天井など建築と一体となった遊び心によって、病院が本来保有すべき「療養環境」としての光の質を体現している。一部ディテールにおいて更なる研鑚が望まれる点もあるが、診療行為に必要な「明るさ」を確保することだけに終始しがちな従来の病院照明計画に対して、患者の癒しのために必要な「暗さ」を施主と一体となって追求し、今後の病院照明のあるべき姿を提示したことが高く評価された。(植野糾)

優秀賞:日本橋室町東地区開発-コレド室町・福徳神社

受賞者:  
團 紀彦 (團紀彦建築事務所)
武石 正宣 (ICE都市環境照明研究所)
内原 智史 (内原智史デザイン事務所)

 このプロジェクトは江戸時代からの歴史を誇る日本橋室町に出現した官民一体型のエリア開発の成功例である。照明デザインが江戸情緒と賑わいの演出に大きく貢献している。
  審査対象の範囲が広範に渡り、しかも長年にわたる開発途上のプロジェクトでもあることから、受賞対象は主に建築ファサードと公共街路、そして福徳神社境内と判定したが、商業施設のインテリアにも拘った光環境のデザインが随所に見られた。街区計画としては、4つの街区を一つの都市再生特区として開発している。
  この種の仕事は事業者と建築設計者+施工者との綿密な協議を積み重ねることが重要だが、2社の照明デザイン事務所は粘り強く官民の施主や施工者との協議や調整を重ねている。その結果として、賑わいのある連続した商業ファサードを保ちながら、一体的な歩行空間の繋がりを作り上げている。多種類の照明手法や技術が混在した感もあるが、今後の開発プロセスにも期待が寄せられる。 (面出薫)

入賞:ザ・リッツ・カールトン京都

受賞者:  
金田 篤士 (株式会社ワークテクト)
黒瀬 俊英  (株式会社ワークテクト)

 京都市内鴨川畔に位置するこの低層型ホテルは2014年2月にオープンした。古都景観に溶け込む和テイストの建築、内装意匠に呼応する照明は、壁面意匠、アートワーク、格子パーティション、床面に至るまで作り込まれ、直接照明を極力控えた細やかな設えとなっている。この設計姿勢は共用部から客室まで徹底された。夜間外観は、鴨川に面した客室から滲む蝋燭に近い色温度光が各々窓を行燈のように見せ、京都らしい穏やかな佇まいを醸している。(水馬弘策)

入賞:東京国立博物館 正門プラザ

受賞者:  
澤田 隆一 (有限会社 サワダライティングデザイン&アナリシス)
木村 佐近 (株式会社 安井建築設計事務所 企画部)
H木 賢一  (株式会社 安井建築設計事務所 設計部)

 東京国立博物館の正面入口前に作られたチケット売場・ミュージアムショップを併設する建物である。すっきりとした建築意匠に添った過不足のない美しい照明計画となっている点が高く評価された。天井を照らし出す間接照明が柔らかい照明環境を作り出しているが、照明器具が目立つことなく美しい光の空間を造り出している。色温度と明るさが1日を通して変化する点も時流に沿った提案であると言えよう。(吉澤望)

審査員特別賞:技術センター ZEB実証棟

受賞者:  
山口 亮 (大成建設(株) 設計本部)
関 政晴 (大成建設(株) 設計本部)
張本 和芳  (大成建設(株) 技術センター)

 ZEBとはネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略で、年間の1次エネルギー消費量がネットでゼロとなる建築のことをいう。これは国のエネルギー基本計画に基づき2020年までに新築公共施設で、2030年までに新築建築物の平均で導入を目指すという政策目標が設定されている。本施設は実験棟ではあるが、現実のオフィスとして使用可能な形で2年近くネット・ゼロ・エネルギーを達成し、パッシブ昼光導入+人工光照明システムがそれに寄与している。昼光、天井間接照明、下向き直接照明、有機ELタスクスタンドの5つの光を、照度、人感、時間などの要素で緻密なシミュレーションに基づいた制御をし、快適な光環境を実現している点が評価された。一方で室内に導入された昼光が天井に映す煩雑なライン状の光のパターンに対する懸念や照明器具の光学設計の平凡さなどが指摘されたが、今後さらに洗練された照明デザインへの進化を期待して審査委員特別賞を贈ることとした。(いわいたつや)

 
2015年 照明デザイン賞 講評

総評

 照明デザイン賞のあり方が刷新されて今年は2年目を迎える。審査員の人数を7名に絞り込み、現地審査方式を取り入れ、更に審査過程や内容に透明性を持たせることに注力した初年度であった。今年は期待通りに昨年を上回る応募総数を得て、更に応募作品の質もプレゼンテーションの内容も向上している。それだけに審査員は様々な視点を戦わせ、真摯な態度で議論を交わし審査を行った。
 今年は現地審査の数を4点から7点に増やしたので、より一層議論が白熱し昨年以上に精度の高い審査が行われた。また、大型施設やバランスの良い作品ばかりが受賞する傾向を回避するために、今年は「審査員特別賞」を新設した。これは優秀賞には至らなかったが見過ごせない独特の内容を持った作品に対する評価である。
 議論の結果、最優秀賞は照明デザインのコンセプトからディテールまでの高い完成度が評価されたが、他の受賞作品もそれに迫る品質と独自性が評価された結果である。(面出 薫)

最優秀賞 京都国立博物館 平成知新館

受賞者
谷口 吉生 (谷口建築設計事務所)
岩井 達弥 (岩井達弥光景デザイン)

 本施設は国宝や重要文化財を含む、幅広い文化財を展示する国立博物館である。優れた建築設計の意図を損なわずに、展示物を主役にした繊細でフレキシブルな照明設備のシステムが高く評価された。
建築照明デザインの仕事の中で、美術館照明は最も洗練された知識と経験とクリエイティビティが要求される。建築設計者、学芸員、鑑賞者という3種類の異なる立場での課題(美術品の保護、鑑賞の快適性、空間の快適性)を丁寧に解決して行かねばならない。本施設の照明デザインはそれらの要素に対して、執拗なプロセスを積み重ねて完成されている。
展示室の照明は最新のLED照明技術を駆使しながら、作品の保護を前提に、照度を抑え展示物に合ったきめ細やかな光の質を選択できるよう、フレキシブルで高機能な照明設備を整えている。昼に優美な建築外観は、夜に内部から溢れ出る照明によって優しい行灯のように輝き立ち、京都ならではのランドマークを創出している。(面出 薫)

優秀賞 大手町タワー

受賞者  
面出  薫 (株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツ)
田中 謙太郎  (株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツ)
坂野 真弓 (株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツ)

 本施設はオフィス、ホテル、及び共用部吹き抜けの3つの用途を持ち、低層部は共通のガラスファサードで一体感を演出しつつ、ガラス内の壁面の素材を変えることで、それぞれの表情を創り出す。各部位ごとに工夫された照明手法がこの表情を一層引き立てている。地下公共通路は、立体感のある天井に対し、ダウンライトをスリット内に配置することで、柔らかですっきりした光環境としている。飲食店舗部分の一部通路は、全く異なる照明手法、器具を採用することで、対比的に雑多な横丁の雰囲気を楽しめる。吹き抜け空間は、屋外の植栽空間を見せるための映り込み、輝度バランスの最適化が、照明手法と内装デザインの工夫により見事に実現されており、3層のレイヤーに構成された奥行き感のある庭園照明と相まって、室内から庭園の夜景を楽しめる環境が実現された。全体を通して、建築空間を活かす、しっかりした技術に裏打ちされたきめ細かな照明空間となっている。(海宝幸一)

優秀賞 東京都庭園美術館新館

受賞者  
安東  直 (株式会社久米設計)
澤田 隆一 (有限会社サワダライティングデザイン&アナリシス)
石井 彩恵  (有限会社サワダライティングデザイン&アナリシス)

 本施設の照明デザインで評価されるべき点は、第一に美しく心地よい空間が成立しているところではあるが、さらにそのプロセスにおいて、照明デザインが建築の形状決定に強い影響を与えながら良い建物を作り出している点、また美術館における昼光照明の影響を詳細に検討している点が高く評価されよう。そもそも応募資料においてシミュレーション結果の説明に多くの紙面を割いており、他の応募作品と異なり見栄えを強調する写真が少なかったことがまず印象的であった。見栄えだけが照明デザインの目的ではない、ということはこの照明デザイン賞の狙いでも繰り返し述べられてきたが、そのことを真正面から捉えて実際の応募資料としてきた本作品については、今後のデザイン賞の一つの方向性を示したものとして、ぜひ多くの方にも一見いただければと思う。職人的な照明デザインと論理的なデザインプロセスが融合した稀有な事例として高く評価されよう。(吉澤望)

優秀賞 三井住友銀行大阪中央支店

受賞者 
塚本 直子 (株式会社竹中工務店)      
君塚 尚也 (株式会社竹中工務店)      
小梶 吉隆 (株式会社竹中工務店)

 1936年に作られた歴史的な建造物を、これからも長期間にわたり「銀行」として使い続けるため、修繕工事にあわせて照明デザインを刷新した注目すべきプロジェクトである。1982年に照明リニューアル工事が行われているが、すでに30年が経過し業務に必要な照度も取れていなかった。装飾天井の洗浄や修復に加え、さらに、トップライトを修繕。また、全体照度を確保するために新しい照明器具が開発されている。空間要素の価値を高め、既存の建築を活かすためにデザインされた、存在感を抑えたリング状のシャンデリアであり、上面と下面を照らす構造でLED光源を用いている。銀行として使 用されながらの工事、また地震での揺れを考慮した力学計算など歴史的建造物ならでの困難を乗り越えて、審美性を備えた空間構成が実現されている。空間全体で明るさ感を向上させながら、修復された天井装飾も忠実な色で美しく照らし出され、実に荘厳な趣を醸し出している。(松下美紀)

審査員特別賞 KUZUHA MALL南館ヒカリノモール

受賞者 
川原村 真幸 (株式会社竹中工務店)      
松井  秀吉 (株式会社竹中工務店)      
納見   聡 (株式会社竹中工務店)

 本施設への主動線である既存本館との連絡通路に正対し、駅前の大通りにも面した主たる壁面を商業施区の街路景観として良質なものにしている。その立面上部、全体面積の半分以上が立体駐車場の開口部になってしまうという難題の解決手腕が、照明デザインとともに着目された。その軽快なファサードデザインは、昼光による表出と夜間の内照効果を丹念に実地検証して設計されているだけでなく、その意匠が法令遵守(消防)、機能確保(通風、耐候性など)、コストパフォーマンスと高次元で融合している。設計に多くのハードルがあることは世の常であり、法令や機能が意匠に優先されることも常であるが、本件はその点において妥協がないことが特に高く評価された。(澤田隆一)

入賞 シェアリーフ西船橋GRACENOTE

受賞者 
伊藤 秀明 日本土地建物株式会社
志村 美治 株式会社フィールドフォーデザインオフィス
森  秀人 株式会社ライティングM

 30年近く経過した研修施設をコンバージョンし、音楽を施設コンセプトに据えたユニークなシェアハウスである。インテリアと照明はこの音環境と呼応するようにアンビエントとフォーカス、ベースとアクセントなどのデザイン手法による小気味良い空間づくりが特徴となっている。また照明は時のうつろいを大切に計画されており、とりわけ夕刻以降のコミュニケーションや雰囲気づくりに大きな役割を果たしていることも評価につながった。(富田泰行)

入賞 東京スクエアガーデン

受賞者 
嶋田 将吾 (清水建設株式会社)        
渡辺 岳彦 (大成建設株式会社)       
金田 篤士 (株式会社ワークテクト)

 京橋交差点に建つ大型複合施設である。高層棟を中央通りから23mセットバックさせ、張り出した低層部に配置した立体的緑化空間「京橋の丘」が特徴的だ。樹木のライトアップは、ランダムに積層された庇に風に揺れる樹形を映り込ませ、京橋の夜の風景を上品に演出する。光はほかに室内から溢れるアクティビティのみ。広告灯を排除し色温度を制御して、成熟した都市空間を実現している。建築と照明のデザイン協働の成果であろう。(植野糾)

2014年 照明デザイン賞 講評

全体審査講評/審査委員長:面出 薫

はじめに

 私はこれまでに、建築デザイン賞、インテリアデザイン賞、景観デザイン賞、写真賞、製品デザイン賞、デザイナー業績賞、など数々のデザイン賞に委員(または委員長)として参加した経験を持つが、照明デザイン賞のみが特有の難しさを持っていると痛感する。形の美しいもの、プロポーションの良いもの、使いやすいもの、頑張った人などに与える賞は解り易い評価基準を持っているが、照明に関わることはそのように単純で一義的な価値では量ることができないからである。
 照明学会・照明デザイン賞の審査にも、多くの異なる意見や評価があることを前提にしながら、しかし明確な視点をもって最終的には賞の決定という勇断を迫られる。賞の審査とは万人にとっての最適解を探し当てることではなく、多くの文化的議論を積み重ねる中身にこそ真価を問われるものであるから、賞の審査結果は発表されたが、照明デザイン賞の本当の議論は、今ここから始まるものではないだろうか。

 以下に、最優秀賞1点、優秀賞2点、入賞4点の審査評を応募番号順に掲載する。

最優秀賞  電算新本社ビル オフィスアンビエント照明

受賞者 
中尾 理沙 (株式会社日建設計)      
小高 孝司 (株式会社日建設計)      
阪口 勝啓 (株式会社竹中工務店)      
會澤 達也 (株式会社トーエネック)       
本間 睦朗 (株式会社日建設計)       
中村 芳樹 (東京工業大学)

 本プロジェクトは長野県長野市に新設されたIT系企業のための革新的なオフィス照明環境である。従来のオフィス照明が視作業のための机上面照度に偏重しがちであったことに対して、更に高品質な作業空間を実現するために、輝度設計を重視した新型アンビエント照明を考案し、明るさ感を向上させながら画期的な省エネルギー(5W/m2)も実現している。
 作業者の視野に快適な輝度を与えるために、天井面から245oの特殊な導光坂が1600ピッチにルーバーのように配置されている。
 これほどまでシンプルな照明システムで、机上面照度と視野内のアンビエント効果の両者を満足させ、その絶妙なバランスを探し当てた点は画期的である。多様な実験段階の検証を積み重ねて、自発光パネルのアンビエント照明の有用性を、理論に留めずに実現させた点が評価された。現地審査では理論と実践との間の多少の乖離も見られたが、今後の更なる展開に期待することとした。(面出 薫)

優秀賞    伊勢神宮 式年遷宮記念 せんぐう館

受賞者 
栗生  明 (栗生明+栗生総合計画研究所)
岩佐 達雄 (栗生明+栗生総合計画研究所)
北川 典義 (栗生明+栗生総合計画研究所)
面出  薫 (ライティング プランナーズ アソシエーツ)
窪田 麻里 (ライティング プランナーズ アソシエーツ)

 式年遷宮の意味を広く伝える目的で建てられた展示館である。神宮の深い緑に囲まれ、大らかな切妻屋根のもとに展示空間が展開する。何よりも特徴的なのは、建築と照明との一体化だ。建築家と照明デザイナーが初期から共同し、計画の骨格から細部デザインに至るまで、成熟した技術と深い愛情により実現された。照明デザインで特筆すべきは3点。一つ目は、内部の暖かい光を池の水面に映すだけの、そぎ落とした夜景。満月がひときわ引き立つ暗さ。二つ目はシークエンスを演出する自然光。南回廊では池の反射を深い軒天で揺らぎの光に変え、北回廊では砂利の光が地窓から床を照らす。最後は御正殿展示室の天空光に見立てた切妻型光天井。懐400mm、高さ10mを下部のみの光源で均質光を実現。さらに金箔装飾をキラキラ輝かせる隠し照明が、緊張感をさりげなく演出する。いずれも技能と文化を未来に残してゆこうという式年遷宮のものづくり精神を、十分感じさせてくれる。(植野糾)

優秀賞  明治安田生命新東陽町ビル

受賞者 
菅  順二 株式会社竹中工務店
帽田 秀樹 株式会社竹中工務店
本村 哲也 株式会社竹中工務店
戸恒 浩人 有限会社シリウスライティングオフィス
小林 周平 有限会社シリウスライティングオフィス

 生命保険会社の事務センターと研修宿泊所の複合施設である。大きなフロアを大小4つのスペースで構成し、1/4ずつステップアップしたスパイラルフロアが建築的特徴で、建築を象徴する内部吹抜空間にはフロアを繋ぐフライングスロープと張弦梁より吊り下げられた外部光庭が存在する。スロープの天井面を計算された反射光が照らし、人々の移動の明るさを確保しながら、見上げの空間を壮大に演出しているとともに、さまざまな空間構成要素と融合した照明がそれぞれの場所で美しい光環境を創り出している。照明デザイナーは時折、新しい構造の建築デザインに参画するチャンスに恵まれる。予算や時間、また構造との取合いなど多くの困難と立ち向いながらも、光環境創出のために真摯に役割を果たすことで、プロジェクト全体の成功を導ける。まさにこの作品は与えられたチャンスに、照明デザイナーとして最大の力を傾注したことが素晴らしい結果を創っている。(松下美紀)

入賞 聖ウルスラ修道会本部修道院・カトリック 一本杉教会

受賞者 
大山  博  (大山博建築設計事務所)      
三角 兼一郎 (清水建設株式会社)      
丹野 俊雄  (清水建設株式会社)      
奥井  繁  (清水建設株式会社)      
関川  智  (株式会社遠藤照明)      
棚橋 太治  (株式会社遠藤照明)

 2011年東日本大震災で被災した修道院と教会の建替に伴う照明デザインである。聖堂祭壇部の間接照明や聖堂内部のLEDペンダント照明、さらに正面ファサードの行灯効果などは、教会建築照明として過不足のないシンプルで美しいデザインとして高く評価されよう。またステンドグラスの再利用による歴史・記憶の継承というコンセプトも「多様な地方文化の継承」という審査基準の一つに合致した。(吉澤望)

入賞 IDEC本社・技術研究センター

受賞者 
池田 昌順  (IDEC株式会社)      
大平 直子  (鹿島建設株式会社)      
山野上 和志 (鹿島建設株式会社)      
安東 克幸  (大光電機株式会社)

 本作は各種制御装置・LED照明等を製造するIDEC株式会社の本社・技術研究センターである。自社が照明器具を開発、製造する場合、ともすれば突飛なデザインに傾きがちであるが本作の場合、外観照明は品格を保ち、屋内は誘導性や暗示的サイン機能を有し、研究開発エリアにおいてはその業務が欲する機能に対し洗練された設備設計がなされている。技術伸展の速いLED照明において、その先進性のみに偏らない照明デザインが評価された。
(澤田隆一)

入賞 穂の国とよはし芸術劇場

受賞者 
長谷川 祥久 (有限会社香山壽夫建築研究所)      
臼井 直之  (有限会社香山壽夫建築研究所)      
山口  亮  (大成建設株式会社)      
森  秀人  (株式会社ライティングM)      
加賀美 鋭  (株式会社ライティングM)      
江越  充  (株式会社ライティングM)

 アートスペース、創作活動室など、創造的な空間を目指した施設を象徴する表情豊かな光を構築した。オーロラ照明とネーミングされた壁面照明は、外壁ディテールを活かしてその曲線を美しく表現する。レンガ壁への陰影に富んだ照明は、壁面材料と光源色によりオーロラ照明に対して、ヒューマンスケールの優しさを強調している。また、室内照明は光源を意識させず、床、壁等の建築構成要素を心地よい光のコントラストで演出している。
(海宝幸一)

入賞 グランフロント大阪 まちをつなぐ賑わいの照明  〜うめきた広場からザ・ガーデンまで〜

受賞者 
澤村 晋次 (株式会社日建設計)      
川島 克也 (株式会社日建設計)      
西堀 正樹 (株式会社三菱地所設計)      
小川 克憲 (株式会社NTTファシリティーズ)

 大阪駅に直結する当該施設は4つの街区の建築を一貫したストーリーでつなぎ、ひとつの街として誕生させた大規模複合施設である。
 敷地内にはエリアごとに魅力ある光が配され、滞留と回遊、賑わいと静寂などの固有の場づくりに照明が大きな役割を果たしている。また、「民」の照明による「公」のグレードアップや店舗の滲み出しなどが街全体の活気を生んでいることも大きな要因となり、多面的な光環境への取組みが評価につながった。(富田泰行)

第11回(2013)

「博多ライトアップウォーク2012」

松下 美紀 (博多ライトアップウォーク実行委員会)まつした みき

博多の秋夜を彩るライトアップイベント『博多ライトアップウォーク2012』。本イベントは福岡市の祭りとして2006年からスタートして、2012年で7回目を迎え、7万5千人を超える来場者で賑わう。会場のひとつ博多区御供所町は1998年に福岡市の都市景観条例に基づいて景観保全地区に指定されている。博多の中心地に位置するが、表通りから一歩足を踏み入れると400年前の太閤町割りの名残を留める街並みが見られ、由緒ある寺院・神社が数多く残るエリアでありこの町の魅力を市民や来訪者に知らしめる福岡市観光施策『博多秋博』の一環として実施されている。各寺院・神社のライトアップデザインは、協力照明メーカー各社に委ねられ、総合監修を照明デザイナーの松下美紀が行う。ライトアップ対象の東長寺、順心寺、承天寺、円覚寺、櫛田神社、節信院、妙楽寺、計7つの社寺を、照明メーカー16社で分担して実施する。

第11回(2013)照明デザイン賞受賞詳細「博多ライトアップウォーク2012」(PDF形式)

「東京電機大学東京千住キャンパス」

槇  文彦 (株式会社槇総合計画事務所)
澤田 隆一 (有限会社サワダライティングデザイン&アナリシス)
中村 友香 (有限会社サワダライティングデザイン&アナリシス)

学生と街の人々が、昼間と同様に夜間も安心して利用できる光環境を計画することで、キャンパス内で多様な活動が生まれ、表情豊かな街並みの風景を作り出している。

第11回(2013)照明デザイン賞受賞詳細「東京電機大学東京千住キャンパス」(PDF形式)

第10回(2012)

「街に光を貼り付ける参加型イルミネーション」

村川和隆 (東京都市大学大学院 工学研究科建築学専攻 小林研究室)
鈴木 亮 (東京都市大学 工学部建築学科 小林研究室)
長谷川瞳 (東京都市大学 工学部建築学科 小林研究室)
宮島奈緒 (東京都市大学 工学部建築学科 小林研究室)

 地域愛着を生むために街の人の手によるイルミネーションを実現するための活動。住民(子ども)が自分で考え、自分の手で街に光を取りつけるイルミネーションを通して、街の景観、シークエンス、認知、愛着、公共性、防犯などの項目を総合的に高めることを目指している。
 自分が住みたい街のイルミネーションを模型空間にLED で表現してもらい、実際の街でLED と磁石を用いて街に貼り付けてもらった。扱いやすい材料と場を提供し、普段意識することの少ない街の光について、光の効果と場所との関係を自分たちで考えさせることを基本テーマとしている。

「第10回(2012)照明デザイン賞受賞詳細」(PDF形式)

第9回(2011)

「羽田空港第二旅客ターミナルビル増築」

友澤 薫 (株式会社日建スペースデザイン)
橋口幸平 (株式会社日建スペースデザイン)
藤田悠吾 (株式会社日建スペースデザイン)
堀江 徹 (株式会社ホリテック)

 最新照明技術と照明デザイン技法により、多様なシーンを演出している。生体リズムを考慮した的確な昼光制御、LED光源の適所への使用により省エネも図れている。空港という社会的な空間を光によって積極的に演出していながら、過度な光となっていないことが評価される。

東京国際空港国際線ターミナル

内山 裕二 (羽田空港国際線PTB 設計共同企業体)
守屋 良則 (羽田空港国際線PTB 設計共同企業体)
内原 智史 (羽田空港国際線PTB 設計共同企業体)

 天井面の照明を最小限とした大空間の照明手法として高く評価できる。色温度、照度のバランスが良く、内部空間と周辺環境の調和が取れた外観の総合的なバランスがよい。LED、光ファイバなどの使用により省エネも図れている。コンセプトが明快で、光によって空間を印象づけられ、日本の空の玄関としての機能美、デザイン性が高く評価できる。

奨励賞

「Jiwari-moonlight」

進藤 正彦 (進藤電気設計)

 木製の器具とタッチパネルの一体化を図ったことは新しい試みとして評価できる。LEDの使用と自動点灯/消灯機能による省エネ性は評価できる。

「勝どきビュータワー「カチッ ドキッ クロック」」

渡辺 靖夫 (カラーキネティクス・ジャパン株式会社)
木村 政喜 (独立行政法人都市再生機構)
中村 保  (独立行政法人都市再生機構)
石原 晋  (独立行政法人都市再生機構)
勝 大河  (独立行政法人都市再生機構)
色部 義昭 (株式会社日本デザインセンター)
軍司 匡寛 (株式会社日本デザインセンター)
齋藤 裕行 (株式会社日本デザインセンター)

 場所の特性を生かし、LEDのグラフィックの完成度が高く、環境アートサイン性が評価できる。現地の今の時間と人との繋がりを示すコンテンツ内容を検討すれば将来性がある。

第8回(2010)

「アステラス製薬つくば研究センター(御幸が丘)」

宮下 信顕 (株)竹中工務店
山口 広嗣 (株)竹中工務店
田中 誓子 (株)竹中工務店
高嶋 一穂 (株)竹中工務店
角舘 政英 ぼんぼり光環境計画

 限られた空間だけではなく、トータルでサーカディアンリズムを考慮に入れた設計手法は評価に値する。また、色彩性に優れ、夜間景観の美しさ、ランドスケープとの調和性に優れており、オフィス空間での景色の変化が人との相互コミュニケーションが取れている点でも評価に値する。経済性の面でもHf蛍光灯とLED照明を組み合わせており、光量の適正化が図られている。

奨励賞

「THE AQUA TERRACE 照明演出」

橋爪 大輔(株)ダイスプロジェクト
馬渡 秀公 アカリファクトリ−

 ランプ・シェードが創る「光の意匠」と植栽が天井に描く「影の意匠」とによる空間演出は独創的で評価できる。昼から夜の変化の調和が取れており、まとまったイメージの表現が評価できる。

「六本希」

グループ名:明星大学理工学部建築学科イルミネ―ターズ

代表 庄司 絵里 明星大学 ほか15名

 イルミネーションを造形物に仕立てた面白さがあり、発想に評価すべき点が見られる。全体的な意匠の独創性には欠けるが、建築を学ぶ学生の作品として評価し、今後の発展性に期待したい。

第7回(2009)

「ホテル日航金沢 ラ・グランドゥ・ルミエール」

戸井 賢一郎 (株式会社日建スペースデザイン)
米澤 研二  (株式会社日建スペースデザイン)
重田 利生  (株式会社日建スペースデザイン)
堀江 徹   (株式会社HORITECH)
野村 宏幸  (株式会社HORITECH)

 カーテンの有無による光の制御をおこなうことで2つの異なる空間を演出しており、またレーザカットで作る「紋様」の種類により様々な演出プログラムを展開できる柔軟性を持っている。光・素材・空間の関係を十分活かした好例として高く評価する。

奨励賞

「東京大学くうかん実験棟」

平沼 孝啓  Hs WorkShop−ASIA

自然光と壁・室内空間の関係をうまく取り入れている。実験棟全体の建築材料を含めてエコロジカルな手法を大胆に活用する手法は社会的に意義があり高く評価する。

第6回(2008)

「AGCモノづくり研修センター」

山口 宏嗣 (株式会社 竹中工務店 設計部)
宮下 信顕 (株式会社 竹中工務店 設計部)
田中 誓子 (株式会社 竹中工務店 設計部)
角館 政英(ぼんぼり光環境計画)

 光のスペクトラム・コミュニケーションの活性化をテーマにして、光環境・建築・家具等がトータルに計算されて完成度高く創られている。光・色・形態を一体で考える重要さを教えられる良い事例として高く評価できる。

奨励賞

「Campus Illumination 2007」

小林 茂雄 (武蔵工業大学 工学部建築学科)

 学生が自力で作成した点は、今後、照明に携わる人材の育成としての効果を期待できる。照明をテーマとしたイベントとしての一定のレベルは維持されており、他団体への火付け役となり、照明に対する世間の意識向上も期待できる作品である。

「aiwest office」

平沼 孝啓 (Hs WorkShop-ASIA)

 光壁をパーティションとして利用した点の独創性を評価する。柔らかい形態と光とで無機質になりがちなオフィス空間に潤いを与えている。今後のオフィス環境に新たなプロダクト開発の可能性を示唆した。

第5回(2007)

「ホテル日航東京チャペル“ルーチェ・マーレ”」

戸恒 浩人 (シリウスライティングオフィス)

 お台場のホテル日航東京に新設されたチャペル“ルーチェ・マーレ”は、レインボーブリッジと東京タワーが望まれる。外部に既存のピロティ空間を改築し、バージンロードと
して特殊型ガラスを使用した光の回廊を設け、「深海から地上へ 〜ヴィーナスの誕生〜
」をナイトウェディングのコンセプトとしている。LED、ローボルトハロゲンランプ、光ファイバー、キセノンランプなどを使用して、深海から地上へ上がっていくストーリーを感じさせる光空間を演出した。この作品は「光を用いて創作した空間・環境アートなどの作品」にふさわしく、照明デザイン賞に推薦する。

奨励賞

「浜離宮恩賜庭園ライトアップ『中秋の名月と灯り遊び』」

戸恒 浩人 (シリウスライティングオフィス)
小林 周平 (シリウスライティングオフィス)
吉田 優子 (シリウスライティングオフィス)

 汐留や浜松町の高層ビル群に囲まれた、特殊な環境の中での浜離宮恩賜庭園のライトアップイベントである。庭園の素晴らしさを光によって素直に表現し、浜離宮の魅力を再発見している。イベントとしてはおもしろく今後このような事例を期待して、奨励賞に推薦する。

「読売北海道ビル」

新居  仁(三菱地所設計)
渡邉 顕彦(三菱地所設計)
松井章一郎(三菱地所設計)
渡邊 剛良(三菱地所設計)
高野 勇治(三菱地所設計)
原田  仁(三菱地所設計)
松永 頼秀(三菱地所設計)

 札幌駅前広場に面する読売北海道ビルの外装は、透過率と反射率の異なる3種類の材料と、窓周りに電球色冷陰極管を配置し、昼、宵、夜間、深夜の変化に富んだ表情を創り出している。グラフィカルな外壁と光の効果をうまく結びつけたファサードデザインが、新たな街の景観を創りだしている点を評価する。奨励賞に推薦する。

第4回(2006)

「SETRE REVER HOTEL+OCEAN」

芦澤 竜一(芦澤竜一建築設計事務所)

 既存施設を改修したホテルで、チャペル、エントランス、レストラン、客室等で建築と照明を一体的に考えた、環境に順応しながら「癒しと驚き」を与える照明計画がコンセプトとなっている。
 また、海に面していることや、海峡大橋といった敷地の特性を活かし、場所の魅力を引き出す工夫がなされている。

  • デザインを活かし、融合性・バランスに優れている。
  • 建築と光のあり方を示したものとして、評価に値する。
  • 全体として発展につながる的確な手法を踏んでおり、建物リニューアルの効果が十分示されている。

奨励賞

「POCOMZ」

坂本 恭一(慶應義塾大学)
斉藤 賢爾(慶應義塾大学)
重藤  彩(慶應義塾大学)

 インターネットを活用して光の照明を別空間にいる他者に伝達し、共有させることができる照明オブジェクト。オブジェクトにフルカラーLEDと制御するマイコンが組み込まれており、6通りの色を自由に変化させることができる。

  • 情報伝達に特化して応募してきているが、照明デザインの新しい概念を広げる緒を示した作品として、今後の展開につながるものと考える。
  • 見る人の生理・心理について知見を深め、空間の創造につなげてほしいと期待する。

「尾道消防防災センター」

伊藤  彰(久米設計)
坂上 真理(松下電工)

 住民に安心感を抱かせる「やさしく発光するオブジェ」。先進的な防災情報を司る「最新鋭の機能をもったコントロールセンター」としての夜間中も地域の中心として存在する演出光、「快適な勤務環境」として癒しと落ち着きのある柔らかな光空間の演出等がコンセプトであり、新しい尾道の夜景の拠点となることが期待できる作品。

  • 公共性、先見性を有する光演出で、地域の夜景に貢献することが大きい。
  • デザイン性のインパクトが大であり、遠景としてのランドマークの役割を果たしていることは評価できる。

第3回(2005)

「ルネ青山ビル」

山梨 知彦 (日建設計)
石田  亨 (日建設計)
勝矢 武之 (日建設計)

 街のアクティビティに反応して明滅するダブルスキンの作品巨大な場ダブルスキンのショーケースが、通りに面した壁全体を構成し、ショーケースはリブガラスに組み込まれたLEDによって発光する。スキン全体がプグラム制御されており、建物に取り付けられたセンサーが、人の動きや街の音を感知してさまざまに発光する仕組みになっている。
 都市の音と光を関連づけた表現であり、建築ファサードの特徴、ガラスの素材感、光の特性が存分に活かされており、当賞に相応しい作品となっている。

  • 独創性、進歩性、感動性で高い評価を得た作品で、瞬時に制御可能なLEDの点滅というテクノロジーを駆使した作品である。
  • ファサードの光は常時振動し、明滅を繰り返しながら複雑な変化を楽しむことができ、青山の街の景観にアクセントを与えている。

「中国河南省鄭州市金水路立体交差橋」

許 東亮  (東芝照明(北京))
植田 慶幸 (東芝照明(北京))
顔  華  (東芝照明(北京))

 都市発展の象徴としての立体交差橋を対象物として、新都市作品である。立体交差橋のスピード感と橋を支える力感を表現し、道路網の充実をシンボリックにアピールしている。近代化の流れ、スケールの大きさを象徴する夜間景観を見事に演出しており、本賞に相応しい作品となっている。

  •  橋梁部分の照明に連続性を持たせることによって流動感を出し、高架部分の高欄照明が、都市の発展性を表現している。橋のフォルムの美しさがシンプルな光の手法によって相乗的な演出効果を出しており、スケールの大きさ、力強さが感じられる。

奨励賞

「花の小路」

外山 和晃 (京都造形大学)
青木 大輔 (京都造形大学)
桂  晃子 (京都造形大学)

 約20万球のイルミネーションを使った、公園を彩る京都府のある市のイベントの出展作品。約700本のビニール傘に3万5千球のイルミネーションを巻き付け、公園の斜面に配置。
 昼も夜も美しさを身近に感じてほしいとの発想はユニークである。ビニール傘と豆電球のコンビネーションが面白く、見て楽しい作品に仕上がっている。

 大学生37名による共同作品で、市のイベントで公園の遊歩道を彩り、道行く人を楽しませた。

「Garden Terrace PRIE」

見木 志郎 (ライトスタイル)

 使用されていなかったホテル2階部分のテラスをLEDの色の美しさを駆使して、優雅な雰囲気のあるイベントスペースとし、ビアガーデン、ナイトウェディング等の多目的空間を演出した。

 LEDとキセノランプによる省エネ光源を採用しており、シンプルな空間構成とLEDのダイナミックな照明演出手法により、空間全体が照明器具を思わせる作品である。

「新宿御苑トイレ増築」

原 健一郎 (石本建築設計事務所)
米山 浩一 (石本建築設計事務所)

 公園トイレの改修に伴い、省エネルギー・環境負荷の低減に資する設備・技術を採用。照明には自然採光や省電力照明・センサーを取り入れ、また、洗浄水には雨水を利用、換気には十分な自然換気開口を設置し、環境志向型公衆トイレを実現した。
 LED照明の効果的利用、ガラスの多用に伴う自然採光の確保等、工夫が見られる。

 今後の公共施設のあり方、考え方への先見性が評価された。

第2回(2004)

「FINSBURY AVENUE SQUARE」

Maurice Brill (Maurice Brill Lighting Design,London)

「和泉シティプラザ」

山上 義美 (佐藤総合計画)
鳴海 雅人 (佐藤総合計画) 
近田 玲子 (近田玲子デザイン事務所)

第1回(2003)

「地球環境戦略研究機関」

富樫  亮 (日建設計)
渡邊  薫 (日建設計)
浅野 卓郎 (日建設計)

奨励賞

「OVLO2」

小園 隆嗣 (松下電工)

「川島織物・技術デザイン展ゲノム・フォー・ザ・フューチャー」

山下 裕子 (Y2 LIGHTING DESIGN)

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照明デザイン奨励賞受賞者一覧

第5回(2002)

「光るラッピングウォール(銀座松屋外装リニューアル)」

高島 謙一 (大成建設)

「照明デザイナーが設計した家(I−HOUSE)」

松下  進 (松下進建築・照明設計室)

第4回(2001)

「田園調布雙葉学園小学校聖堂」

藤田 純也 (竹中工務店)

「Dancing in the Building」

的場やすし (メディアアーティスト)

第3回(2000)

「福岡タワー照明改善プロジェクト」

松下 美紀 (松下美紀照明設計事務所)

第2回(1999)

「あいち健康の森健康科学総合センター<あいち健康プラザ>アトリウムの照明」

北村 寛 (松下電工)

「代々木の杜パーク・マンションの照明」

野澤 壽江 (近田玲子デザイン事務所)

第1回(1998)

「キャロットタワーの外構・アトリウム照明」

小林 和夫 (松下電工)

「エコガーデンの外構照明」

吉本 操子 (小泉産業)

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