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照明デザイン賞受賞者一覧

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 照明デザイン賞は、光を素材とした、優れたデザイン的内容を持ち、創意工夫に満ちた作品を顕彰するものであり、近年、国内に竣工した空間に対する光環境や照明デザインにおいて、社会的、文化的見地からも極めて高い水準が認められる独創的なもの、或いは新たな照明デザインの可能性を示唆するもので、時代を画すると目される優れた作品を称え表彰するものです。

2019年 照明デザイン賞 講評

総評

 応募総数は31作品。7名の審査員により一次、二次審査を経て11作品に絞り込み、応募者立会いの現地審査を経て最終審査委員会を行い、最優秀賞1作品、優秀賞3作品、入賞3作品、審査員特別賞1作品と、照明デザイン賞としてのレベルの高さを示す計8作品を決定した。受賞者は建築関係者、大学関係者、照明関係者と多岐にわたる。照明デザイン賞審査委員会では、より多くの人が気軽に応募できるよう、2020年に向けて要項の簡略化を検討中である。

(審査員長 近田 玲子)

最優秀賞:水木しげるロード

撮影:鈴木 文人

受賞者:  
長町 志穂 (株式会社 LEM空間工房)
熊取谷 悠里 (株式会社 LEM空間工房)
作品関係者:
事業主: 中村 勝治(境港市長)
  灘 英樹(境港市 建設部 次長 兼 水木しげるロードリニューアル推進課 課長)
設計関係者
土木設計: 栗原 裕(有限会社 ユー・プラネット)
システム設計: 伊藤 貴史(ウシオライティング 株式会社)
VR監修: 福田 知弘(大阪大学大学院工学研究科 准教授)

作品コンセプト:
 水木しげるロードは、公共道路空間の新たな魅力化と昼夜にわたる集客を期待するまちづくりとして、歩道拡幅整備と照明デザインによって実現したものである。
 当該道路は1993年供用開始され、芸術的な妖怪ブロンズ彫刻のある町として人気を博してきたが、近年観光客も減り店舗は16時には閉店するような状況であった。そこで道路環境の改善とともに「日没後まで居たくなるまち」をめざし、照明効果によって「妖怪の気配を感じられる光のナイトミュージアム」としてリニューアルすることを照明デザインとして提案し採択された。約800mの歩道は、177体のブロンズ彫刻が再配置され「妖怪影絵」「音と光の演出」をはじめとする異なる照明手法と効果を公共照明としてとりいれた「光をめぐるまち」である。すべての照明は、全域でトータルに細かくプログラム制御し、この道に相応しいエンターテイメント性と深夜の省エネルギー、安全安心を同時に実現している。

講評:
 照明デザインの新たな可能性を切り開いたプロジェクトとして、際立った評価で最優秀賞に選ばれた。
 JR境港駅から約800mにわたり、地元出身の漫画家水木しげる氏の創出した177体の妖怪ブロンズ像が並ぶ「水木しげるロード」が、25年目のリニューアルで、光の妖怪が出現する街路へと生まれ変わった。ブロンズ像への照明に加え、雰囲気を変えるカラーライティング、ゴボプロジェクターで路面に投影される妖怪たちの姿、そしてその気配を感じさせる街路灯や店先照明の変化や動きなどの緻密な照明制御が、効果的な音響と相まって、あたかも妖怪が住んでいるかのような街路を創り出した。
 通常このような計画は、短期イベントでも道路照明や景観照明の規制や基準、あるいは様々な意見に阻まれることが多い。しかし、これら多くの課題を照明デザイナーと熱意ある行政担当者や住民が一致協力して解決し、常設の施設として成立させた本件は、照明デザインの歴史に足跡を残す意義のあるプロジェクトといえるだろう。

(岩井 達弥)

優秀賞:三越日本橋本店本館

撮影:鈴木 文人

受賞者:
山本 幹根 (株式会社 ライティングプランナーズアソシエーツ)
岩田 昌大 (株式会社 ライティングプランナーズアソシエーツ)
作品関係者:
事業主: 株式会社 三越伊勢丹
建築設計: 隈研吾建築都市設計事務所
施工: 株式会社 三越伊勢丹プロパティ・デザイン

作品コンセプト:
 国の重要文化財に指定された日本橋三越本店、本館1階の改修計画である。
 歴史的な建物を保存しながら、「白く輝く森」という建築デザインのコンセプトのもと照明計画を行った。
 アール・デコ様式を用いた現代的な樹冠はフロア全体に展開され、美しいグラデーションの光で空間に明るさ感を与え、おもてなしの場を演出している。各入口には、お出迎えの為の特別な天井が設けられ、光に包まれる象徴的な場となっている。

講評:
 重要文化財に指定された百貨店の改装計画である。コンセプトは極めて明快。柱上部にアルミの葉状樹冠を取り付け、一枚一枚の葉に間接照明を仕込んで「白く輝く森」を創出する―ということだ。実現にあたってデザイナーは、設計シミュレーションや原寸モックアップで検証を重ね、光源選定、反射面角度、照明位置、器具交換の可否の検証など、ミリ単位でディテールの作り込みを行った。結果として、全く独創的で未来的な光空間を現出させ、大正初期、竣工当時の市民に感じさせたであろう百貨店本来の「晴れがましさ」までも現代に再現することに成功した。光のガイドラインによるテナント空間の光制御や、防災設備等とのデザイン上の折り合いのつけ方も含め、照明デザイナーのプロフェッショナルな関与は大いに評価されるべきで、「白く輝く森」に江戸以来の伝統と未来を二つながらに感じさせ、ある種の気品をもたらせたのも、こうした繊細な職人芸の賜物だろう。

(植野 糾)

優秀賞:慶應義塾大学病院1号館(新病院棟)

撮影:日暮 雄一

受賞者:
戸恒 浩人 (有限会社 シリウスライティングオフィス)
斎藤 俊一郎 (株式会社 竹中工務店)
作品関係者:
事業主: 慶應義塾
建築設計: 江波戸 宏(株式会社 竹中工務店)
  近藤 朋也(株式会社 竹中工務店)

作品コンセプト:
 東京・信濃町にある慶應義塾大学病院の新病院棟。「Keio Forest」をテーマに、随所に杜のモチーフをちりばめた柔らかな光環境をデザインしている。主動線であるホスピタルモールでは、遠くまで伸びる枝のように天井間接照明を計画。そこに接続する待合・ラウンジ空間においては、天井に複数の葉形のダウンライトを軽やかに舞わせ、滞在する人々の心を優しく包む。2階エントランスの光のパーゴラや、木立の重なりが、杜の中を散歩しているような心癒される光環境を実現している。

講評:
 大学病院に建設された新病院棟の照明デザインで、建築設計と照明デザインが一体となって非常に居心地の良い空間が作り出されている。木立・枝・葉・杜のコンセプトは、わかりやすく幅広い訴求力を持つ一方で具象的過ぎる印象を与えかねないが、実際に出来上がった空間では、それらのデザインが前面に出すぎて目立ちすぎるようなことはなく、照明デザインは空間の質・居心地の良さ・ひそやかな視覚的楽しさをもたらすことにひたすら寄与している。病院建築の照明ということもあり、比較的大人しいデザインではあるが、一見控えめながらも細部までこだわりを持って練られている。葉形ダウンライトも単純な仕組みでありながら、視覚的効果は綿密に計算されている。全体としてバランス感覚が素晴らしく照明デザイン賞に相応しい作品となっている。病院建築における今後の照明デザインの一つの方向性を示すものとしても価値ある作品であると評価されよう。

(吉澤 望)

優秀賞:京都 神楽岡 蓮月荘

撮影:堀内 広治

受賞者:  
竹内 跡 (株式会社 日建設計 設計部門 設計グループ)
熱田 友加里 (コイズミ照明 株式会社 LCR)
中村 公洋 (株式会社 日建設計 ソリューショングループ)
作品関係者:
事業主: 中山 哲也(トラスコ中山 株式会社 代表取締役社長)
設備設計: 小林 護(株式会社 日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ)
照明設計: 松本 慎二郎(コイズミ照明 株式会社 特機商品部 製作室)

作品コンセプト:
 京都市左京区のゲストハウス兼保養施設。外観は存在感を保ちながら住宅街の静けさに溶け込み、内部は大文字山を望む東側の開口部が自然を最大限に取り込む。素材は左官や焼杉板を使用し、日本建築らしさや職人の手仕事を伝える。照明は光によって「空間を広げる」をコンセプトに計画。光の「面」をつくることで、空間に奥行き感や多面性を持たせた。和紙をアクリルに封入する技術で導光板照明と行燈を開発し、伝統と最新技術の融合を実現した。

講評:
 この建物は、京都・哲学の道にほど近い静かな住宅地に建てられた客室5室の宿泊保養施設である。目を引くのは、凹凸のある石壁、焼杉板や左官仕上げの壁など、建物各所を形作っている素材へのこだわりと、それらを生かした光である。建物全体を通しての照明デザインの基本は「光の面を作る」こと、光によって空間に奥行き感や多面性を持たせることであった。大文字山を望むダイニング・ラウンジや客室、2つの大浴場では間接照明で天井を浮かせ、4つの庭では素材と光の絶妙なバランス、京都らしい伝統と格式を見ることが出来た。眩しさがなく辺りを柔らかく照らす光が訪れる人を迎える。随所に見られる光を取り込んだアートワークの中でも、手作業で透明アクリルの中に白い和紙が蓮の葉のように浮かぶ形を作り上げた行燈が印象的であった。建築設計者が望む空間が、光によって余すところなく表現されている。

(近田 玲子)

入賞:東京大学総合図書館

受賞者:  
川添 善行 (東京大学 生産技術研究所)
中澤 公彦 (清水建設 株式会社 設計本部 設備設計部4部)
赤羽 元英 (パナソニック 株式会社 エコソリューションズ社)
作品関係者:  
事業主: 国立大学法人 東京大学
設計・監修: 東京大学キャンパス計画室(野城 智也)・同施設部
建築設計: 稲場 万鎖夫(清水建設株式会社 設計本部 教育・文化施設設計部)

作品コンセプト:
 関東大震災の記憶を継承する噴水を、地下空間であるライブラリープラザへ光を導入するトップライトに生まれ変わらせた。周辺の外構計画では関東大震災で焼失した旧図書館のレンガ基礎に照明を組み合わせ、キャンパスの憩いの場所としている。地下空間のライブラリープラザは、噴水トップライトからの自然光により、地下でありながら四季を感じられる空間が完成した。噴水トップライトからの自然光を補うかたちで、木格子の天井全体が照明となって、器具・グレアを感じさせない人にやさしいデザインとした。

講評:
 このプロジェクトでは光のデザインが建築設計の核心的役割を果たしていることが評価された。関東大震災で焼失した旧図書館の噴水をトップライトとして蘇らせる。広場に人を集める為に、周囲の建築からの漏れ光や遺構ベンチの間接照明だけで外構をまとめる。地下のライブラリープラザも、天井一面を覆う木格子ルーバからの光で、大きな照明器具の中に身を委ねるような気配を漂わせる。
 設計者の強いデザイン意図が結実している。

(面出 薫)

入賞:香月メディカルビル

撮影:黒住 直臣

受賞者:  
林 総一郎 (株式会社 三菱地所設計)
作品関係者:  
事業主: 香月 孝史(医療法人社団秋月会香月産婦人科)
建築設計: 杉本 宏之(株式会社 三菱地所設計)
  荒井 拓州(株式会社 三菱地所設計)
電気設計: 伊藤 匡貴(株式会社 三菱地所設計)

作品コンセプト:
 広島市内の築17年のオフィスビルをコンバージョンし、出産・子育てを行う女性とその家族を総合的にサポートする都市型複合医療施設に再生した。祝祭の場に相応しい華やかで輝くようなReデザインを施し上質で洗練された空間へと昇華させている。三層に分節された各々の外装にライティング演出を行って建物に奥行き感を生み出し、母親が我が子を包み込むように全体を優しい光のベールで包み込んだ。地元広島カープが勝利した夜には赤く輝き地域文化を体現する。

講評:
 築17年の事務所ビルを産婦人科、乳幼児医療保育施設に用途変更した建物。外観意匠で魅せる候補物件が複数あった中で、ガラス、金属仕様外観への照明企画が地域景観に貢献した点に加え、医療施設としての安心感、清潔感のあるアイボリー調内装に相応しい間接光の取り入れ工夫、視線方向に配慮した防眩器具による視覚に優しい照明計画、屋上庭園の開放感に満ちたヒーリング効果のある利用者優位の照明デザインが総合的に評価された。

(水馬 弘策)

入賞:熊本県医師会館

撮影:平井 広行

受賞者:  
今村 雅樹 (日本大学/今村雅樹アーキテクツ)
石黒 竜夫 (伊藤喜三郎建築研究所)
井谷 博行 (山田照明 株式会社)
作品関係者:  
事業主: 公益社団法人 熊本県医師会
建築設計: 伊藤喜三郎建築研究所・今村雅樹アーキテクツ設計JV
構造設計: TIS & Partners
照明設計: 設楽 義行(山田照明 株式会社)
  中村 大輔(山田照明 株式会社)

作品コンセプト:
 この建築は医師会の新しい理念「開かれた医師会」として、新社会の拠点となるべく設計された。
 熊本城に面するお堀遊歩道側と反対の電車通りに面する両通りを、1階「パサージュ」で結びシンボル的空間とし、2階「300人ホール」へと繋がるパブリック空間を計画している。熊本大震災復興を願って現場制作した天井画「雲雀」や旧会館の「めがね椅子(坂倉準三デザイン)」43脚を再生し、多くの人に利用されるよう「光環境によるうつろい」をエレメントとして設計された。

講評:
 北側に復興中の熊本城、南側を電車通りに挟まれた最高のロケーションに建っている。光によるウェイファインデングの効果でスキップフロアの構成が分かりやすい。ロビーはガラス張りで透明感に溢れ、ホールの光幕照明も美しい。建築外観は穴の空いたパンチングパネルで構成され、夜間に暗くなるオフィスビルエリアに建物から漏れる光で優しく通りが照らされている。歴史都市熊本に新しい夜間景観を寄与したことが高く評価された。

(松下 美紀)

審査員特別賞:山のセカンドハウス

撮影:井上 玄

受賞者:  
久保 隆文 (株式会社Mantle)
井上 玄 (株式会社 GEN INOUE)
宇谷 淳 (株式会社 GEN INOUE)
作品関係者:
施工 : 春田 勝盛(テクノアート)

作品コンセプト:
 山の中に立てられたセカンドハウス。7つの短冊状に分けられた空間ではベッドやソファなどの固定的な家具は置かず、素材やプロポーションに変化をもたせ空間の質に差異を演出している。
 使う人がアクティビティや気分によって移動し、居場所を選ぶように、空間との関わり合いを誘発する事を目的としている。大きな窓が特徴的な空間において、屋外が真っ暗になることを効果的に利用し、窓に映りこむ光をデザインした。
 多様に映りこむ光環境を楽しめるような自由な空間となっている。

講評:
 セカンドハウスと言うより家族のための自己啓発道場のような環境だった。人家の少ない村の斜面地を利用して7つに分節されたウエハースのような建築空間だ。家族がそれぞれに勝手な時間を楽しむために作られたそうだ。
 光の設計もその意図を反映して7種類の異なる性質を持たせている。明るい部屋と暗い部屋。上からの光や下からの光。陰翳の濃い空間と均一に照らされた空間。まるで光の実験道場のようにも思えて楽しそうだった。

(面出 薫)

2018年 照明デザイン賞 講評

総評

 2018年度の応募総数は58作品であった。第1回審査会で現地審査対象を10作品に絞り込み、続く現地審査では、1作品につき2名の審査員がそれぞれ現地に赴いて作品を検証すると同時に、設計者から建築や照明デザインの説明を受けた。第2回審査会では、現地審査に行った審査員からの報告を踏まえて、7名の審査員が投票を行った。議論の結果、最優秀賞は該当なし、優秀賞4作品、入賞3作品、審査員特別賞1作品を選出した。

(審査員長 近田 玲子)

優秀賞:星のや東京


撮影:ナカサアンドパートナーズ

受賞者:  
林 総一郎 (株式会社 三菱地所設計)
東  利恵 (有限会社 東環境建築研究所)
武石 正宣 (有限会社 ICE 都市環境照明研究所)
作品関係者:  
事業主: 三菱地所 株式会社
運営者: 星野リゾート
建築設計: 清水 聡 (株式会社 三菱地所設計)
石田 雅大(株式会社 三菱地所設計)
宿利 隆 (株式会社 三菱地所設計)
電気設計: 岩井 厚 (株式会社 三菱地所設計)

作品コンセプト:
 星のや東京は日本旅館である。江戸小紋のスクリーンで覆い、重箱のようなデザインとした。玄関から客室までを畳敷きとし、各階にお茶の間ラウンジを設え、日本のくつろぎを表現した。
 照明計画では「塔の日本旅館」にあるべき光環境として、見え隠れする奥ゆかしさ、徹底した眩しさの排除を念頭に計画した。
 意図的に分節し明暗を生む間接照明、丁寧に遮光して間接照明化された意匠器具など実験的な手法も織り交ぜ、日本的な静謐さをたたえる空間となった。

講評:
 超高層ビルが立ち並ぶ東京大手町に、ホテルではなく「日本旅館」を作ることをテーマとした極めつけの星のやが誕生した。ホテルと旅館の違いは明確だ。室内で靴を脱がせるのが旅館。お迎え空間から広大な畳が待っていた。
 照明デザイン上のコンセプトは日本特有の「間」や「陰翳」の美しさを際立たせることだと説明された。なるほど廊下の障子でさえ均一な明るさでなく美しいグラデーションを見せる。客室の欄間風な間接照明にいたっても、わざと光を繋げずに間隔をあけて陰翳を演出している。しかしこれは一見して球切れに見えはしないかと私は心配した。
 「光を間引く」という考えで光の総量をおさえることに腐心したと言う。そのアイデアはアルミダイキャストで覆われた個性的な外観の照明にも表れている。特徴的な光の水平ラインを敢えて分断することで強い陰影の意識を表現している。
 随所に挑戦的な照明デザインが見られ意欲的な思いの強さが伝わる仕事である。

(面出 薫)

優秀賞:近畿大学ACADEMIC THEATER

撮影:金子俊男

受賞者:  
戸恒 浩人 (有限会社 シリウスライティングオフィス)
畠山 文聡 (株式会社 NTTファシリティーズ)
作品関係者:  
照明デザイン: 小林 周平(有限会社 シリウスライティングオフィス)
遠矢 亜美(有限会社 シリウスライティングオフィス)
建築設計: 岡 俊徳(株式会社 NTTファシリティーズ)
伊藤 裕也(株式会社 NTTファシリティーズ)
設備設計: 竹林 雄司(株式会社 NTTファシリティーズ)

作品コンセプト:
 知的好奇心を揺り動かす「知の実験劇場」をコンセプトとした、近畿大学東大阪キャンパスアカデミックシアターの計画。各棟が独自の外観と内部空間を有する5つの建築群によって構成されており、それぞれの空間デザインのコンセプトを光で浮かび上がらせている。なかでも、四隅に建つ4棟をつなぐ中央の図書空間は都市のような複雑な様相を特徴としているため、光によって散策したくなるような期待感に満ちた雰囲気を創出した。

講評:
 図書館を中心として学生の学びや交流の場を作り出すことを狙った斬新な建物であり、そのコンセプトに沿った新たな照明デザインのあり方を示した作品である。特に平面計画に則った内部空間の天井の三日月型の建築照明は非常に緻密にデザインされており、一筆書きで光をペイントしたかのような美しい効果をもたらしている。オーガンジーの布を用いた天井照明は布に対して法線方向から見ると最も効果的で、場所によっては風にそよいで雲が漂うような印象を与えていた。木質ファサードを照らしあげた外観照明は松明の連なりのような見えとなっており、柔らかく斬新なイメージを建物全体にもたらすことに成功している。大学キャンパス内の照明計画としてこれまでにない大胆な光の効果をもたらしている点が高く評価された。

(吉澤 望)

優秀賞:GINZA SIX

撮影:金子俊男

受賞者:  
村岡 桃子 (ライティング プランナーズ アソシエーツ)
木村 光 (ライティング プランナーズ アソシエーツ)
本多 由実 (ライティング プランナーズ アソシエーツ)
作品関係者:  
建築主: 銀座六丁目10地区市街地再開発組合
設計プロジェクトマネージャー: 森ビル/アール・アイ・エー
基本計画・基本設計: 谷口建築設計研究所
実施設計・監理: 銀座六丁目地区市街地再開発計画設計共同体
(谷口建築設計研究所, KAJIMA DESIGN)
ランドスケープ: プレイスメディア

作品コンセプト:
 115mの街区を貫くひさしの層に映り込む街のアクティビティと、そこに組み込まれた抑制のきいた光のライン。 低層商業階ファサードの“のれん”には照明ガイドラインを示し、各ブランドにはそのルールの中で個性を発揮してもらう計画とした。大規模開発における建築ファサード照明計画として、周囲との調和や影響について仔細な検討を重ねた。屋上庭園では、周辺夜景を楽しめるように低照度・低位置に照明を配置した。

講評:
 銀座の新たな名所としてオープンしたGINZA SIXは、銀座通りファサードでブランドを主張するアクティブな光と、都市の光の喧騒を映すパッシブな光を積層することで、現代社会の縮図のような、これまでにない新しい銀座の光の顔をつくりだしている。
 さらに建築に覆われたあずま通りでは明るさの創出、大きな建築の裏となった三原通り側のファサードには色彩の光による賑わい、そして屋上庭園には陰影のあるやすらぎの光と、適光適所に都市が求める光を巧みにデザインしたことが高く評価された。

(岩井 達弥)

優秀賞:西南学院大学図書館

撮影:Kozo Okawa

受賞者:  
松下 美紀 (株式会社 松下美紀照明設計事務所)
高山 直樹 (株式会社 松下美紀照明設計事務所)
作品関係者:  
事業主: G.W.バークレー(学校法人 西南学院大学)
建築設計: 飛永 直樹(株式会社 佐藤総合計画 九州事務所)
篠原 正樹(株式会社 佐藤総合計画 九州事務所)

作品コンセプト:
 福岡市の文教拠点に位置する西南学院大学図書館は「西南の知の樹」として建築の中心に知識の幹の「ブックツリー」があり、周囲は成長する枝葉としての「ラーニングリーフ」という空間が幹を支える樹木のような構成になっている。建築の意図を表現するために 照明コンセプトを「知をひらく光」とし、建築と一体化した光空間を創出した。外観はトレサリー(レンガ透かし積み)から内部の光が外へ漏れることで、まるでレースのような柔らかな表情を生みだしている。

講評:
 福岡西新地区の文教拠点にある大学の新しいシンボルとも言える図書館である。隣接するヴォーリス設計の大学博物館と同色のレンガ・トレサリー(透かし窓)の外壁は、昼は自然光を柔らかく取り込む照度制御の役割を果たし、夜は内部の光を効果的に見せてヴェールを纏った貴婦人のような夜景観の創出に成功している。照明デザインの基本は、最小の光で最大の効果を生み出す「ラーニングフリー」としている。書架スペースでは、本棚の上部に取り付けた上下配光の特注器具で、ボールト天井へのアッパーライトと上から下まで十分に明るく照らす書架照明を実現させた。加えて、人感センサーを細かく取り付け、省エネにも配慮している。建物中央の6階吹き抜け空間「ブックツリー」では、吹き抜け周りの書架用ウォールウォッシャー以外の照明器具を設置せずに、吹き抜け中央にある階段の照度を確保するなど、緻密な計算に基づいた光のデザインが評価された。

(近田玲子)

入賞:能作新社屋

撮影:金子俊男

受賞者:  
戸恒 浩人 (有限会社 シリウスライティングオフィス)
遠矢 亜美 (有限会社 シリウスライティングオフィス)
作品関係者:  
施主: 株式会社 能作
建築設計: 株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ
家具設計: Koizumi Studio
プロジェクトプロデュース: 株式会社 t.c.k.w
サインデザイン: 水野図案室 合同会社

作品コンセプト:
 富山県高岡市にある、鋳物の製造・販売を行う能作の工場とショールームを兼ねた新社屋。ショップ、カフェがあるホールでは、緻密なCGシミュレーションにより決められたアップライト手法によってダイナミックに傾斜したルーバー天井を広く美しく照らし出している。
 また、職人が鋳物を作る過程を来場者が見学できる仕上場では、職人の作業のための光と、来場者のための演出的な光を両立させたデザインとしている。

講評:
 話題となった錫製品姿をメタファーとする直線光源で構成された工場照明は、LED光源による新しい機能照明可能性を示唆していると評価した。また、ショップ・カフェエリアの照明に於いては、壁面一部に設えられた金属素材意匠壁に対して、金属という光沢、鏡面性を伴う素材を冷静に解析した上で直接的な投光を排除し、周囲インテリア輝度をほのかに映し出すという意匠壁演出手法を選んだところに、照明設計者の緻密さを感じる作品であった。

(水馬 弘策)

入賞:大光電機 株式会社 技術研究所

撮影:稲住写真工房

受賞者:  
安東 克幸様 (大光電機 株式会社)
川中 祐介様 (大光電機 株式会社)
東井 嘉信様 (株式会社 大林組)
作品関係者:  
事業主: 大光電機 株式会社
建築設計: 西森 史裕(株式会社 大林組)
設備設計: 松村 圭悟(株式会社 大林組)

作品コンセプト:
 本施設は、照明器具の製品開発、研究を担う施設として建設。「建築」「自然光」「照明」の一体化を目指し、 すべては「光」を最優先に考えた設計を行っている。特にエントランスホールの巨大な壁面に設置した「ヒカリタイル」は 来訪者を迎える「DAIKOのあかり」を象徴し、廊下や執務スペースで使用しているライン照明は、1つのモジュールで 10種類の器具に展開し、各エリアの用途に応じた照明手法と意匠性の統一を図っている。

講評:
 分散していた研究機能をひとつにまとめ、最新試験設備を導入し品質管理向上を目的とした照明メーカーの技術研究所である。エントランスホールでは3396個の光タイルが様々なシーンを演出し、お客様を迎える光として効果を高めている。執務空間は計画された配光設計により心地良くストレスを全く感じない。社員がタスクライトを点けると、そのゾーンの空調や換気が稼働する連動制御のオフィス照明を導入するなど、可能性への取り組みが高く評価された。

(松下美紀)

入賞:静岡県富士山世界遺産センター

撮影:金子俊男

受賞者:  
窪田 麻里 (ライティング プランナーズ アソシエーツ)
矢野 基世 (ライティング プランナーズ アソシエーツ)
本多 由実 (ライティング プランナーズ アソシエーツ)
作品関係者:  
事業主: 静岡県
建築設計: 坂茂建築設計
構造・設備: Arup
ランドスケープ: オンサイト計画設計事務所
展示: 丹青社
サイン: 日本デザインセンター

作品コンセプト:
 ユネスコ世界文化遺産に登録された富士山の、文化発信・研究拠点となる施設である。木格子に覆われた逆さ富士型の展示棟を照らし上げ、山頂に光が積もる富士山型が水盤に映り込む。刻々と表情を変える富士山のように季節ごとの演出を設定している。富士山への眺望や近隣住宅に配慮して、低い位置の外構照明のみとした。屋内では木格子の壁面を照らして素材感立体感を引き立たせるとともにアトリウムの明るさ感を担保している。

講評:
 水盤に映り込んだ木格子の「逆さ富士」は、隣の浅間神社の赤い大鳥居と奥に聳える「富士山」も取り込んで、ありふれたロードサイドを一変させた。照明の力で夜の景観はさらに魅力的だ。ガラスを挟んで屋内外の木格子のライトアップを連続させるという、極めてシンプルで骨太なコンセプト、そしてその実現のための水中照明の実験や床面LEDのグレア対策など、丁寧なディテールや誠実な技術力に、高い評価が与えられた。

(植野糾)

審査員特別賞:越後妻有文化ホール・十日町市中央公民館~段十ろう~

撮影:村上美都

受賞者:  
鈴木 教久 (株式会社 梓設計)
加藤 洋平 (株式会社 梓設計)
髙橋 匡太 (株式会社 髙橋匡太)
作品関係者:  
事業主: 十日町市長 関口 芳史
電気設計: 齋藤 禎二(株式会社 梓設計・電気システム部)
建築設計: 桾澤 忍(株式会社 塚田設計事務所)
アートコーディネート: 飛田洋二(株式会社 アートフロントギャラリー)
アート照明設計支援: 井出 英典(カラーキネティクス・ジャパン 株式会社)
アート照明プログラム: 川口 怜子(株式会社 髙橋匡太)

作品コンセプト:
ホールと公民館の複合施設である。最高の舞台芸術を鑑賞できると共に、市民の多様な文化活動が行える。ここでは、日本人の伝統的な世界観の一つである「ハレとケ」を大切にした空間としたかった。そのため、ハレとケの空間を光で際立たせている。祝祭性のあるホールの内壁は木仕上げ、ホール外側の壁は本実型枠仕上げとし、地元産の木を反転した仕上げの関係でハレとケを表現している。また、イベント時には、雁木ギャラリーの光の演出「光り織」により、夕刻になれば建物の表情は、十日町着物を纏うよう一変する。

講評:
里山の暮らしに現代アートを定着させた「大地の芸術祭」で知られる十日町市の文化拠点ホールである。大通りから奥に入り込んだ敷地を顕在化させるため作られた100mを超える雁木ギャラリーの天井に、十日町市の伝統織物、明石ちぢみや十日町友禅の縞模様と色をモチーフにした「光り織」が組み込まれた。月ごとに変わる光の色は市民生活に生気を吹き込む。白一色の長い冬の間も人々の活動を刺激する景観照明として評価された。

(近田 玲子)

2017年 照明デザイン賞 講評

総評

 審査員は7名。1次で63件の応募作品を審査、2次で1次で選ばれた9作品を現地審査、3次で最優秀賞1件、優秀賞2件、入賞3件、審査員特別賞1件を選定した。前回を大幅に上回る様々なジャンルからの応募作品は、これまでの受賞作品のデザイン性の高さ、審査の公平性が評価された結果と受け止めたい。今回、ミニマムな光の構成で広場照明をデザインした最優秀賞の「南池袋公園」は、暗さも居心地の良さの一部であることを示した。

(審査員長 近田 玲子)

最優秀賞:南池袋公園

受賞者:  
平賀 達也 (株式会社ランドスケープ・プラス)
富田 泰行 (株式会社トミタ・ライティングデザイン・オフィス)
大岡 直美 (株式会社トミタ・ライティングデザイン・オフィス)
作品関係者:  
事業主: 豊島区都市整備部
公園設計: 小林 亮太(株式会社ランドスケーププラス チーフデザイナー)
建築設計: 久間 常生(株式会社久間建築設計事務所 代表)

作品コンセプト:
 当施設は池袋駅に程近い繁華街に隣接する新しい運営形態を取り入れた都市公園である。豊島区は日本一の高密都市でありながら消滅可能性都市に指定された経緯があり、その逆境をバネに文化政策が打ち出され当公園の整備事業もその一環に位置づけられた。従来の公園整備とは異なり、都市経営の観点から民間活力を導入し、カフェの運営と維持管理の組織づくりなど官民一体となった体制をとっていることが大きな特徴である。
 「都市のリビング」を公園計画のコンセプトに据え、昼夜を分かたず市民が訪れ楽しく過ごすことができる空間をつくりだすことが求められた。
 夕暮れとともにゆったりとしたくつろぎの時間が始まる。既存樹を利用したテラスエリアのさくらんぼ照明、ステップフロアと手摺の間接光が人々を誘い、カフェの窓明りが公園の行灯的な役割を果たす。キッズテラスのリボンスライダーは少しの光で浮かび上がり公園のアイストップにもなっている。中央に広がる芝生広場に照明器具はない。照度基準のみに頼ることなく暗さの中にある安心や心地よさを引き出すことに注力した公共空間となり、サードプレイスとして夕刻以降の都市活用に一役買っている。

講評:
 光のデザインの力で公園の夜がここまで価値を高めることができる。そのことを万人に知らしめる為の優れた実例だ。審査員の満票でこのプロジェクトが最優秀賞に選ばれた。
 この公園がある豊島区は日本一の高密都市でありながら、2014年に東京23区で唯一の消滅可能性都市に指定されたそうだ。しかしその厳しい評価をバネにして、官民が一体となり「人が主役の街づくり」を掲げてこの計画が進められた。このような仕事は照明デザイナーの努力だけでは成就しない。このプロジェクトでは、志の高いランドスケープデザイナーと熱意あふれる行政担当者に恵まれ、通常では均整度のみが要求される公園照明の常識を大きく革新した。照明のない中央の芝生広場、既存樹を活かしたさくらんぼライト、高品質な手摺照明、キッズテラスの濃淡のある景色など。随所に「都市のリビング」をコンセプトにしたメリハリのある光環境が出現した。
 池袋の喧騒の向こうにゆったりと夜を寛ぐ公園がある。それだけで画期的な成果である。
(面出 薫)

優秀賞:ニフコYRP 風のプロムナード棟


撮影:小川 重雄

受賞者:  
越野 達也 (株式会社竹中工務店)
高橋 一哉 (株式会社竹中工務店)
中島 一秋 (株式会社ライティングシステム)
作品関係者:  
事業主: 小泉 貴志(株式会社ニフコ)
設備設計: 三島 広之(株式会社竹中工務店)

作品コンセプト:
 実験施設のエントランス棟。ウェーブする大屋根が特徴で、場所や機能に適した天井高を確保しながら、建物長手方向に流れる海からの卓越風を可視化したデザインである。コンクリート壁に沿ったライン状の光は建築の軸線を浮かび上がらせ、有機的なフォルムの大屋根を柔らかく照射する。建築と一体的に水盤を配し、照明効果が床面にも拡張するよう試みた。「建築全体が一つの照明器具」となり、地域に新たな光の風景を創出している。

講評:
 長さ75mの鉄筋コンクリート壁の上に、Tの字型に鉄骨屋根スラブが載るだけの、単純なヤジロベイ構造の建築である。照明計画も極めてシンプルで、正面壁を床からライトアップし、室内側では壁面上部に仕込んだライン照明で天井面を照らし上げて、水平線を強調する。場所に合わせて天井高を変化させ(2.1m~3.5m)柔らかい曲面大屋根とし、海からの卓越風の流れを緩やかに表現する。機能は逆に複合的で、二棟の既設建屋を動線としてつなぎ、新実験棟のエントランスとラウンジを提供し、結果として本社全体の象徴的な顔づくりに成功している。中庭のボラード照明は不要であり、ディテールに修正の余地がある等の意見も出されたが、計画の初期から建築も構造も設備も、光も風も一体的に考え続けた若手設計者の熱意と、コンセプトをモノへと結実する力量に対し、今後の期待も込め高い評価が与えられた。
(植野 糾)

優秀賞:NIFREL(ニフレル)

受賞者:  
北村 仁司 (株式会社竹中工務店)
会津 寿美子 (株式会社トータルメディア開発研究所)
三島 立起 (株式会社ファースト・デザイン・システム)
作品関係者:  
事業主: 三輪 年(株式会社海遊館 代表取締役社長)
展示設計: 紀伊 健(株式会社トータルメディア開発研究所)
展示設計: 立花 弘章(株式会社ファイズデザイン)
照明設計: 國分 頼明(大光電機株式会社 TACT大阪デザイン課)

作品コンセプト:
 日本最大級の水族館「海遊館」を運営する株式会社海遊館が、大阪万博跡地に2015年11月開業した全く新しいコンセプトの展示施設である。従来の水族館とは大きく異なり、美術館、博物館、動物園、水族館などが融合した体感型ミュージアムとなっている。NIFREL(ニフレル)という名称は、「~に触れる」に由来している。この施設を訪れる人々が生き物の不思議や神秘を体感し、「感性にふれる」展示空間を目指した。

講評:  
本施設は従来の水族館とは大きく異なる、美術館、博物館、動物園そして水族館が融合した体験型のミュージアムプロジェクトである。「~に触れる」に由来した名前の通り、ここでの体験が「感性に触れる」ことを目指して造られている。プロローグは最初の展示室で色の変化に触れる空間、次は真っ暗な中に面発光した水槽が浮かび、天井はまるで星空のような姿に触れる空間。テラリウム栽培や飼育が可能なライティングとなっている水辺に触れる空間。水槽照明は配光制御された専用設計の器具で色温度と照度により生息水環境が表現されている。生き物に必要な自然光はトップライトや窓から取り入れられ、加えて人口光で時間の流れを作るプログラム制御を可能にしている。このように変化する空間構成はまるで一冊の図鑑を見るようである。照明デザインにおいては、暗さと明るさのコントラストやインタラクティブな照明を体験できることが評価されての受賞となった。
(松下 美紀)

入賞:軽井沢の大屋根

受賞者:  
戸恒 浩人 (有限会社シリウスライティングオフィス)
遠矢 亜美 (有限会社シリウスライティングオフィス)
作品関係者:  
事業主: 浅井 正士(株式会社コアシグナル)
建築設計: 広谷 純弘(株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ)
建築設計: 石田 有作(株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ)
建築設計: 堀部 雄平(株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ)
建築設計: 嵯峨 常功(株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ)

作品コンセプト:
 軽井沢の別荘地に佇む、一枚の大屋根が架けられた戸建住宅。屋根は四角い平面に対して対角線方向に傾いた、変形片流れの形状になっている。いくつかの照明手法を組合せ、主要な空間にまたがる変形勾配のルーバー天井を、美しく浮かび上がらせた。
 2層吹抜の解放感あるリビングでは、窓サッシ上に納めたナローとワイドの2種類の配光を重ねた間接照明により、天井と縦ブラインドを大きく照らし出し空間全体を包み込んでいる。

講評:
 美しい木ルーバーの大きな片流れの屋根は、開口部無目に仕込まれた間接照明によって美しく浮かび上がり、室内はそのやわらかな光でつつまれている。日除けためのバーチカルブラインドが夜は間接照明の光を受け空間を印象付ける光となっている。間接照明環境下の直接照明(ダウンライト等)の設置方法や生活との関係に若干の疑問が感じられたが、とかく大型施設が目につく本賞において、それらに劣らない住宅照明デザインである。 
(岩井 達弥)

入賞:デンソーグローバル研修所・保養所「AQUAWINGS」


撮影:フォワードストローク

受賞者:  
本間 睦朗 (静岡理工科大学)
池畑 善志郎 (株式会社YAMAGIWA)
鈴木 豊一郎 (株式会社日建設計)
作品関係者:  
事業主: 加藤 晋也(株式会社デンソー 人事部)
建築設計: 奥宮 由美(株式会社日建設計 設計部門)
建築設計: 眞庭 綾(株式会社日建設計 設計部門)
電気設備設計: 加藤 元紀(株式会社日建設計 エンジニアリング部門)
電気設備施工: 尾崎 将之(株式会社きんでん)
照明器具製造: 宮田 亜希子(株式会社YAMAGIWA)
照明制御施工・調整: 神藤 善行(神田通信機株式会社)

作品コンセプト:
 AQUAWINGSは周辺景観を内部デザインに取込んで、視覚的に一体化することを意図した。併せて、人間が本来有している余剰な光を嫌う感覚を呼び覚ますことも狙った。
 余剰の排除が結果的に施設の省エネルギーに結び付くこと、さらには、人々がこの施設内に住まうことで呼び覚まされるであろう、余剰を嫌い陰影を礼賛する人間本来の感覚が、自宅などに戻った後にも、いわゆる環境配慮に姿を変えることも期待している。

講評:
 浜名湖を望む眺めの良い敷地を生かした柔らかい意匠の建物に調和するように計画された照明が、心地よく印象的な空間を生み出している。特にアトリウムのトップライトから木漏れ日を模した光の効果を生かすための昼光連動制御は独創的かつ意欲的な照明手法として評価されよう。昼光と人工照明の併用のユニークな事例として注目されるに値する作品である。
(吉澤 望)

入賞:東広島芸術文化ホール くらら

受賞者:  
森 秀人 (株式会社ライティングM)
江越 充 (株式会社ライティングM)
作品関係者:  
事業主: 東広島市
建築設計: 佐伯 和俊(有限会社香山壽夫建築研究所)
建築設計: 長谷川 祥久(有限会社香山壽夫建築研究所)
建築設計: 曽田 峻(有限会社香山壽夫建築研究所)
建築設計: 角沢 聡子(有限会社香山壽夫建築研究所)

作品コンセプト:
 酒処・東広島市の中心部に位置する文化芸術施設。「こもれび広場」を中心に、大小ホール、市民ギャラリー、会議室等が備わる。
 日中は、なまこ壁をモチーフとしたカーテンウォールとルーバ―越しに、陰影のある光が降り注ぐ。一転して、夜には、建物全体が間接照明の光に包まれ行灯のように輝き、ランドマークとなる。自然光と人工照明の細やかな連携により、日常的で親しみやすい空間と誇らしいハレとなる場を同時に実現した。

講評:
 当該施設外観を構成するアルミルーバーには、なまこ壁を模した切込意匠があり、陽光がそこを通過し屋内床面にも菱形光模様が生まれるという自然光の巧みな取込がある。またホール壁面には、この地域に多く見られる赤瓦を想起する色彩が大胆に使われているが、それを印象的に照らし出すことで建物のランドマーク性を向上することに成功している。この施設は地域に開かれ積極活用されているが、照明がそれに寄与していると感じられる作品である。
(水馬 弘策)

審査員特別賞:太陽工業事務所・太陽工業御陵通給油所

受賞者:  
興津 俊宏 (株式会社竹中工務店)
森田 昌宏 (株式会社竹中工務店)
吉野 弘恵 (アカリ・アンド・デザイン)
作品関係者:  
事業主: 太陽工業株式会社
設備設計: 藤原 優也(株式会社竹中工務店)
施工者: 株式会社竹中工務店

作品コンセプト:
 ガソリンスタンドと財団事務所を、住宅地のスケールに馴染む建築群として計画。分散配置した庇は、全体に一体感を与えると共に、前面の桜並木へと続く街へ開けた雰囲気を創り出す。その鉄板格子庇を照らし上げ、明るさ感や広がりを創るアンビエントライトとし、床面を照らすタスクライトと組み合わせることで、高輝度障害を無くしながらも、店舗としてのアイキャッチを確保し、独自のアイデンティティを創り上げた照明計画とした。

講評:
 仁徳天皇陵に続く桜並木のある通りに、オフィスを併設したガソリンスタンドが建てられた。いつものお得意さまが暮らす住宅に囲まれていることから、過度な明るさを出さない配慮に加え、夜7時には閉店する潔さである。電球色のLEDを使い、ルーバー状の屋根に反射した間接光と、給油する人の手元を照らす直接光を組み合わせ、景観に配慮した柔らかく明るい一角をつくり出した。これまでに無いガソリンスタンド照明の出現である。
(近田 玲子)


 

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