市の中心地区に計画された市庁舎である。長崎は鎖国の時代、世界とつながる国内唯一の街として、新たな文化や技術を国内外に発信してきた歴史がある。この地の新しい市庁舎として、長崎の新たなシンボルとなって市民・世界に新たな魅力・技術を発信することを目指した。
建物はRC格子フレームとCLT耐震パネルによる特徴的なファサードをもつ。この「外殻構造」は免震構造の効果を高めるとともに、格子フレームによる日射遮、CLTパネルによる断熱性能の向上を図っている。このような外皮構成を基本に天井放射空調などの設備システムを組み合わせてZEB Readyの認証を受けている。
建物外観として見えてくる照明は、街全体に調和した色温度(3000K~3500K)を設定し、都市景観・夜の風景に溶け込みつつ、長崎の新しい夜景をつくることを目指した。建物内照明の色温度は、執務室は5000K、共用エリアは4000Kとし職員の働きやすさに貢献する計画としている。
また省エネにも配慮して、明るさ検知制御、タイムスケジュール制御、在室検知制御などを取り入れ、ZEB Ready取得に貢献した。運用実績値においても計画時に比べ一次エネルギー消費量が削減されている。
建物と照明の一体感がある。建物外観の照明には街全体に調和した色温度を採用し、窓フレーム照明を効果的に用いて、長崎市民に親しめる都市景観の創出に寄与している。特徴的なファサードを柔らかい光で包み、長崎の都市景観に溶け込む工夫が素晴らしい。