福岡市郊外に建つ複合商業施設である。立地する姪浜地区は子育て世代の居住率が高い一方で、中心市街地への利便性の良さから駅前には商業施設が少ない。創業からこの地域と共に成長してきた建主は、さらなる姪浜地区の活性化とまちづくりへの貢献として直営の複合商業施設という新しい事業への挑戦に踏み出した。
敷地は駅前の大きな都市スケールから住宅街の小さな都市スケールに切り替わる瞬間に位置している。この相対する2つの環境を建築によってグラデーション状に接続するため、駅前の表情は大きな箱が積層し、住宅街の表情は住宅スケールの小さな箱が積層する形態に辿り着いた。その累積された箱の余白には段状の大きな通路を架け、駅側と住宅街側を立体的につなげている。さらには、まちに開かれた緑豊かな階段やテラスを設け、人々が集う憩いの場が創出されている。
建築と照明の一体感に優れ、全体的によく練られた照明計画と言える。商業施設としての機能性に加えて、地域の街並みや住環境への配慮が伺える。また、将来的なメンテナンス性への配慮も伺える。