地域における知の拠点として2022年に公立化された周南公立大学の新校舎である。正門から入って正面に位置するS1号館は地域にも開かれ、大きく巡らせた軒の広がりが人々を迎え入れる。1、2階に展開する共有空間は敷地の高低差をフロア構成に取込み、交流、情報、学修の3つのスペースを連続的に配し、立体的にキャンパスを繋ぐ見通しの良い開放的な空間である。キャンパスの四方へと繋がるこの空間は「ウェルビーイングスクエア」と名づけられ、多様な人々が集い、学び、交流する居場所となっている。
照明計画は建築の特徴である木の温もりを引き立てる電球色の光を主として組み立てられている。対照的に中央の3・4階吹き抜け空間には昼白色の間接照明が用いられ、中心性が強調されている。
木の温もりを感じる光、時を感じる光も良いが、一体感のある景色をつくるために3つの照明手法を取り入れているコンセプトが優れている。
建物外周を照らす手法としてペリメータライトやスポットライトを採用し、日没後に軒天を魅力的に表現できるようにしている。室内空間には、アップライトとダウンライトを併用することで床面だけでなく天井面も明るく表現しており温かみのある空間が演出されている。