三条大橋のたもと河原町通に面する京都の中心地に建つホテルである。外装デザインは、建物を幾重にも包み込み、奥行と陰影で街並みを形成する「奥深い装い」とされている。施設内には、河原町通りの景観をつくる「前庭」、京町屋の路地に見立てた「通り庭」、四季折々の空を見上げる「坪庭」、東山を一望する「ルーフトップバー」という4つの庭をホテルと都市環境の接点に置くことで、味わい深い時間を届けている。
インテリアデザインにおいては、歴史と現代性を併せ持つ京都のハブとして、歴史と現代、伝統や革新などの魅力とゲストを結び付ける「京都SYNAPSE」をコンセプトに、ゲストの新しい発見と出会いを提供する空間となっている。
奥深い外装は大きな窓と障子でゲストルームを包み込んで、街の雑踏を気にせず自然光を享受でき、夜には京の街を彩る行灯へと様相を変える。内部の照明は時間帯によって照明演出を切り替え、時の移ろい、ホテルとしての空間そのものによって、ゲストをきめ細かくもてなすホスピタリティを体感できる照明計画となっており、これらは高効率な器具の採用、緻密なシーン設定により、快適性と省エネ性が両立した環境負荷の低い照明計画を実現している。
京都らしい伝統美を重視した奥ゆかしい照明演出が魅力的である。特に内部の光を障子のように外部に滲ませる表現や、折り紙モチーフ、水面への映り込み演出など、多彩で繊細な工夫が施されている。照明設備は省エネ性だけでなく、外光との連動やシーン切替えを高度に実現。建築との調和がとれた高品位な照明計画として高く評価できる。