大阪の大動脈である御堂筋沿いに建つ三津寺の敷地内に計画された寺院・ホテル・店舗からなる高層複合施設である。江戸時代末期建立の木造本堂を曳家して保存し、同時に檀信徒の寄進のみに頼ることのない持続可能な寺院経営も実現する都市型寺院の新しいプロトタイプとなっている。街に開かれた3層吹抜の境内を計画の中心に据え、御堂筋からのアクセスを寺院とホテルが共有することで、様々な人を呼び込み、仏教を身近に感じられる空間が実現されている。
漆や金箔で彩られた三津寺本堂内陣とホテルのブランドコンセプトである輝きが呼応し、さらに本堂の風格や力強さを表現する照明計画により、新旧が融合した寺院とホテル一体の境内空間が作り上げられている。
都市景観と調和を図りつつ、本堂の存在感を背面から巧みに照らし出す照明計画が印象的である。スポットライトの配置により陰影や奥行き感を効果的に演出しており、金箔を活用した拡散光も威厳ある雰囲気づくりに成功している。