「水晶デバイス」のリーディングカンパニーの既存研究所に隣接する敷地に、本社機能と工場機能を統合したスマートファクトリーを実現した。各地に分散していた施設を集約するにあたり、部門間のコミュニケーション促進と社員の一体感醸成を目指した。「積層する水晶チップ」をデザインモチーフに据え、製品の特徴を象徴的に取り入れた空間構成をコンセプトとした。建物の内外装に一貫してこのモチーフを展開し、開放的で連続性のある執務環境を実現すると共に、企業アイデンティティを空間として具現化している。
照明計画では、水晶を加工する際に切り出す角度に着目し、その特性をレイアウトに反映させた。さらにサーカディアンリズムを取り入れた照明計画により、執務空間の知的生産性を高めている。
企業の業務特性を明確に表現したコンセプトとライン照明を巧みに活用した統一感のある空間演出が高く評価できる。昼光センサやDALI調光システムなど最新の制御技術を導入し、省エネルギー性やサーカディアンリズムを考慮した高度な光環境制御を実現している。また、緻密なシミュレーションによる視環境の最適化により、執務空間としての快適性も十分に確保されており、総合的に完成度の高い照明計画として評価に値する。