旧本庁舎の歴史的な価値を継承しながら、市街地での都市型防災庁舎のあるべき姿を追及した。
防災対応としては、多摩川の河川氾濫などの水害の影響を受けない中間階免震構造を採用し、併せて地震時に空調機や仕上げ材落下がない執務室の無天井化を実現した。また、停電時は、都市ガス(中圧ガス)を利用し、本庁舎最大使用電力の約9割を非常用発電機とコージェネレーションシステム(CGS)によって、バックアップする計画とした。都市ガスが途絶した場合でも、備蓄燃料にて最大使用電力の7割で7日間、業務継続が可能なインフラ維持計画としている。あらゆる都市災害を想定した極めて防災性能(BCP)の高い庁舎を追求した。
環境配慮においては、外装と環境技術との融合を実現した 「エコマルチウォール」を開発し、超高層建築での自然換気の導入も可能にした。これらによりCASBEE川崎のSランクを取得し、BEI= 0.47(ZEB Ready)という高い環境配慮性能も確保した。
BCPを考えた設備ボックスや市民との一体感を呼びかけるカラーライティングは、これからの照明計画のあり方を示した良い事例と考える。