上越新幹線燕三条駅付近の土地区画整理事業地区内に位置し、北陸自動車道にも隣接した交通の便が良い場所にある病院である。駅や街に近いものの、この地域を象徴する弥彦山や、粟ヶ岳・守門岳等の美しい景観を望む自然に囲まれた雄大な土地に立地する。
内装計画としては、温かみのあるアースカラー・木調の内装材を中心に、この地域の風景を想起させるアクセントカラーや県産材の安田瓦・杉をはじめとした身近な素材感を感じられる材料を取り入れることで親しみやすいデザインを目指している。外来の各受付や待合には地域の植物をモチーフとしたグラフィックサインを配置し、患者の不安感を軽減させる空間づくりを行っている。
照明は療養環境に配慮した優しく包み込む照明環境をテーマとし、医療行為を行う部屋は建築の内装計画も白系を基本とし、照明の色温度は5000Kとした。患者さんがくつろぐ場所は内装計画も木調とし、照明の色温度は3500~4000Kと温かみのある空間を構築している。外来プラザは、木調の内装材にて落ち着いた安心感のある空間とした。大きな待合空間にゆったりとした広さを感じるような大きな吹き抜けには、天井の低い部分の照度より吹き抜け部分の照度を高く計画することで、自然光が降りそそぐような明るい空間となっている。
新潟県産の木材や安田瓦を使用し、それらの特徴を活かした照明を施すなど、建築計画、内装材、サインと一体となった居心地の良い光環境の構築がなされている。また、医療行為と療養環境を両立した照明計画を具現化しており、特に患者側に対するグレアへの配慮は波及効果が期待される。さらに、時間や人数等に応じた調光制御により、省エネルギーな照明を実現している。