子育て環境の充実と老朽化した図書館の建て替え、魅力あるまちづくりのために敷地所有者と長井市のPPP(官民連携)手法により実現した「子育て世代活動支援センター」と「多機能型図書館」の複合施設である。
かつての製糸工場の跡地で、周囲に雄大な朝日連峰が広がることから、その歴史性、地域性を重視し、「紡ぐ」、「包み込む」をキーワードとして、市民が集い、遊びと学びの交流拠点となるような場所を目指した。
デザインモチーフは、「繭」として、柔らかい曲面で外部・内部を包み込むデザインを提案した。繭型のガラス外壁面の上に、片持ち梁により跳ね出した白い屋根で施設全周を包み込むことで、おおらかな軒下空間をつくり出し、まちのシンボルとなる外観を表現している。
この建物は乳幼児期から生涯を通じて活用される建物を目指し、駅舎兼市庁舎に隣接した好立地にある。長井市の紡績産業の歴史を感じられる建築形状を生かせるように照明器具の主張を抑えた機能性とデザイン性を両立する「安定した照度の確保」「光の与える柔らかさ」をテーマとし、間接照明器具を多用した空間で表現している。特に特注書架照明については、天井照明を無くしても、空間の明るさ感を確保できる計画となっている。
間接照明による安定した照度の確保と光の与えるやわらかさは、市民が集い、遊びと学びの交流拠点に好適である。長井市の新しいシンボルとなる外観と合わせて内部の照明も魅力的である。極力目立たないように配置された照明器具による十分な明るさと光のやわらかさは、遊びと学びをよく融合させている。繭をモチーフとして、面で包み込まれたデザインの外観に見合ったやわらかい光の照明は、紬の町として栄えた長井市の新しいシンボルに相応しい。