建築家 磯崎新氏の設計で2002年に開館したセラミックパークMINO内の県立美術館。開館20周年を翌年に控えた2021年11月から改修工事を実施し、22年9月に営業を再開した。
展示室は白く開放的なホワイトキューブの空間である。それを均質に照らす光天井は器具の収まりを調整し、どの角度から見ても光膜が均一に発光して見える光景を作り出した。壁面展示ケースには高演色紫励起LEDを採用し、複数灯のライン光源を打ち分け、展示作品に応じて光の重心を変えた様々なシーンを展開している。展示室内は勿論、エントランスや通路など館内のほぼ全エリアで、専用無線タブレットによる個別調光制御を導入しており、展示シーンに応じてフレキシブルな運用が可能である。
既存の意匠は踏襲しつつも、LEDの最新技術を駆使することで新たな照明環境を創り出している。
既存意匠を尊重しつつ美術館として備えるべき照明性能と自由度を向上させ、新たな歴史を刻み始めた現代陶芸美術館にふさわしい上質な光環境を提供しており、高く評価できる。