大型物流施設の最上階に設けられた施設利用者向けの無料休憩ラウンジである。
施設のある木曽岬町は、河口地帯に位置し、見渡す限りほぼ平坦地である。そのため、このラウンジは町を望む随一の展望空間とするだけでなく、平坦地にはない起伏に富んだ空間とすることで、町の新たなランドスケープとして親しまれる場にしたいと考えた。
非日常性と安心感が共存するスケールや形態を探り、たどり着いたのは柱状節理(=岩石の柱が隆起した自然現象)のモチーフに包み込まれた洞窟状の空間だった。このラウンジの柱状体は身体的距離を「無意識に」選択する仕掛けになっている。多様なコミュニケーションが次々と生まれる新時代、そして、アフターコロナにおいて、人と人とのつながりを再構築するきっかけになればと期待している。
洞窟空間の休憩ラウンジとして、柱状の建築照明を採用することにより、非日常性と安心感が共存する雰囲気としている。柱状の建築照明の制作は完成度が高く、また、休憩ラウンジとしての照度を確保しつつ、空間全体をグレアレスとした照明計画は、独創的なものとなっている。自然光と人口照明との融合により、様々な表情を見せているのも空間に変化をもたらしており、優れた照明計画となっている。