「やきもの・タイル」のまち、常滑市の新市庁舎である。旧庁舎が老朽化し、津波のおそれのある海辺に立地していたことから、災害対策拠点としての充実と市民サービスの向上のために、高台の市民病院敷地へ移転新築が行われた。
建物は住宅地の中央に位置し、敷地内にある既存病院の療養環境に配慮しつつ、隣接する周辺環境と調和する3階建ての低層庁舎となっている。
建物は3つのフロアで構成されており、2階の大きな執務フロアは市民対応の窓口を1箇所に集約し、その外周部にカウンターを設けて、見通しの良い窓口となっている。執務スペースを一体とする事で、部署間のコミュニケーションを容易に取る事ができ、市民サービスの向上を実現している。また、1階には休日・時間外も市民が利用できる、こども図書室やギャラリー、会議室を設けて市民の利用頻度を高めるように考えられている。3階議場は皆が車座になって市の未来を議論する円形議場とし、傍聴席も一緒になって車座を囲むように配置されている。その円形議場の形を屋上に表し、当時常滑で生産された旧帝国ホテル(フランク・ロイド・ライト)のスクラッチタイルを議場の内外装に用いて、タイルのまちの庁舎のシンボルとしている。
自然光を取りこむことにより開放的な建築となっており、常滑市のタイルを用いた建築デザインに合わせた低色温度による照明計画はその特徴をうまく表現できていて、施設共用部においても市民に親近感を感じさせる照明施設となっている。