第6回 Lux Pacifica・バンコク大会報告
Lux Pacifica 委員会委員長 中村 肇
1.はじめに
Lux Pacificaは主に環太平洋地域において、照明分野の研究・技術・デザインなどに関する交流を行うための国際組織の一つである。これが主催するLux Pacifica大会は、太平洋沿岸の国々における照明関連の研究者・技術者・照明デザイナーらが、一堂に会して成果を発表するとともに、討論、情報交換および国際交流を行う国際会議としてよく知られるようになった。この大会は後述する加盟国のいずれかの国で4年に1回開催される。
このたび、第6回大会がタイのバンコクで2009年4月23日から25日にかけて開催されたので概要を報告する。
2.国際組織委員会の活動状況
現在、Lux Pacificaには、オーストラリア・ニュージーランド照明学会、北米照明学会、インド照明技術者協会、中国照明学会、タイ照明協会、ロシア照明学会、南アフリカ照明学会、日本照明学会の8組織が加盟している。初代の委員長は北米照明学会のJames Jewell氏で1997年の第3回大会を終えた時点で、オーストラリア・ニュージーランド照明学会のWarren Julian博士に交代し、現在に至っている。
第6回大会の開催国は、2007年度CIE北京大会の会場で開催された国際組織委員会において、ロシアにすることが決定された。それに基づいて、ロシア照明学会では第6回大会の開催日を2009年4月23日~25日に決定し、開催準備の一環として2008年3月には論文募集・参加登録などためのホームページが開設された。また大会PRのためパンフレットも各国に配布された。アブストラクトの段階では日本からの申込み件数は29件であった。日本からロシアへの渡航手続きなどについてはロシア照明学会と詳細に打ち合わせを行い、決定した事柄をEメール・会告などを通じて参加予定者へ連絡した。その後日本側の投稿論文をまとめてロシア側へ送付し、2009年1月中旬において開催準備はほぼ完了していた。
ところが、2009年2月初旬にロシア照明学会から財政危機などの影響で大会の開催が困難になったことが表明された。そこで、2005年度の国際組織委員会では開催国の第2候補はタイであったので、Warren Julian委員長自らバンコクへ行き、ロシアと同じ日程で開催できるようにタイ側と交渉され、同意を得た。
突然の開催国変更のため約2ヶ月という極めて短期間で新たな事務処理を終えなければならなくなった。このためWarren Julian委員長自らが大会のオーガナイズをできるように、ロシア照明学会の行ってきた開催準備事務は同委員長に移管された。具体的には、ロシア側に投稿されたすべての論文、そのコンタクト先のEメールアドレス、すでに登録した参加予定者の電子データなどである。この緊急事態に対し、同委員長の所属団体のオーストラリア・ニュージーランド照明学会は、参加費の集金やタイ側への支払いの業務を分担することになった。
日本の発表のオーガナイズのために、諸事項はEメールによってWarren Julian委員長または奥様と相談し、決定事項をすぐに日本の参加予定者に知らせる必要があった。さらに問題が発生した時はすぐに同委員長と相談して解決策を見出し、対策を講じる必要があった。このため著者は、日本語と同じ正確さとスピードで英語のEメールの受発信をしなければならず、開催までの間パソコンの前から離れられない状態がずっと続いた。日本の参加予定者にLux Pacifica委員会から発信したEメールのタイトルリストを表1に示す。
日本照明学会のホームページには本大会のPRのため、開催案内と講演募集など(和文と英文)を掲載した。このタイトルリストを表2に示す。照明学会誌と英文誌には合計19回に渡り会告を掲載した。
1 | ルクスパシフィカ 2009開催国のお知らせ(ロシア・ハバロフスク) | 2007 08/22(水) |
2 | 講演募集のご案内(ロシア・ハバロフスク) | 2007 11/08(木) |
3 | 講演募集のご案内(ロシア・ハバロフスク) | 2008 02/12(火) |
4 | ツアーのアンケートご協力のお願い | 2008 04/01(火) |
5 | アブストラクト提出期限(7/31)のお知らせ | 2008 07/28(月) |
6 | アブストラクト提出者へ全タイトルリストの通知(29件) | 2008 08/19(火) |
7 | ロシア専門旅行社の紹介(ハバロフスクへの渡航) | 2008 09/11(木) |
8 | ロシアへの入国・滞在手続きのお知らせ | 2008 09/11(木) |
9 | ハバロフスクへの渡航手続きのお知らせ | 2008 09/18(木) |
10 | 発表論文の全タイトルリスト(87件)のお知らせ | 2008 10/15(水) |
11 | ダリアビア航空の事業撤退のお知らせ | 2008 11/03(月) |
12 | 本論文の提出の催促 | 2008 11/16(日) |
13 | ハバロフスクへの渡航手続き(改定版)のお知らせ | 2008 11/25(火) |
14 | 参加登録手続きのお知らせ | 2008 11/28(金) |
15 | 大会のタイムスケジュール(ドラフト)のお知らせ | 2008 12/01(月) |
16 | ハバロフスクへのフライトナンバーのお知らせ | 2008 12/02(火) |
17 | 参加登録の手続期日・渡航手続き(再改定版)のお知らせ | 2008 12/12(金) |
18 | アシアナ航空 OZ 572便の時刻変更のお知らせ | 2008 12/14(日) |
19 | 参加登録費の外国送金依頼書の記入方法のお知らせ | 2008 12/20(土) |
20 | ロシアへの参加登録費の支払状況のお知らせ | 2008 12/23(火) |
21 | 日本照明学会への論文送付期日(1/6)のお知らせ | 2008 12/24(水) |
22 | ロシア照明学会の冬季休暇のお知らせ | 2008 12/26(金) |
23 | 日本照明学会へ論文送付期日の延長(1/8)のお知らせ | 2009 01/07(水) |
24 | ロシアへの論文送付完了のお知らせ | 2009 01/09(金) |
25 | ロシアの論文受付期日(1/31)のお知らせ | 2009 01/23(金) |
26 | 緊急重要連絡(ロシア照明学会への支払い中止) | 2009 01/29(木) |
27 | 開催国はタイに変更します | 2009 02/06(金) |
28 | バンコク大会への参加のお願い | 2009 02/08(日) |
29 | 論文受付状況とタイへの業務移管のお知らせ | 2009 02/08(日) |
30 | ロシア照明学会からの開催できなくなった事に対する詫び状 | 2009 02/18(水) |
31 | 会場ホテル決定のお知らせ | 2009 03/05(木) |
32 | 新 Website開設のお知らせ | 2009 03/05(木) |
33 | ポスターのサイズのお知らせ | 2009 03/06(金) |
34 | 開催情報のお知らせ(日時、場所、参加登録、ホテル手配、講演募集 ) | 2009 03/09(月) |
35 | Registration Form が開設されました | 2009 03/15(日) |
36 | 参加登録と支払い方法のお知らせ(新しい Registration Form) | 2009 03/22(日) |
37 | 参加登録・支払いの締切日のお知らせ | 2009 03/24(火) |
38 | 発表論文リスト(P reliminary)のお知らせ | 2009 03/30(月) |
39 | バンコク航空便別グループ分けの調査 | 2009 04/02(木) |
30 | ポスター発表者の簡単な経歴書の送付のお願い | 2009 04/03(金) |
41 | 口頭発表者の簡単な経歴書の送付のお願い | 2009 04/03(金) |
42 | ポスターの貼り付け方法(ピンどめ) | 2009 04/06(月) |
43 | 口頭発表時間(質疑応答含め30分)のお知らせ | 2009 04/07(火) |
44 | 安全対策情報1(外務省海外安全ホームページ) | 2009 04/12(日) |
45 | 安全対策情報3(国際活動委員会の意見) | 2009 04/13(月) |
46 | 安全対策情報2(予定通り開催します) | 2009 04/13(月) |
47 | 安全対策情報4(騒動の沈静化) | 2009 04/15(水) |
48 | バンコク航空便別グループ分け名簿の最終版のお知らせ | 2009 04/17(金) |
49 | 海外渡航連絡事項(持参物、大会受付、トラブル対策など) | 2009 04/18(土) |
50 | (仮)発表のタイムスケジュールのお知らせ | 2009 04/20(月) |
51 | バンコクの空港からのタクシーの乗り方 | 2009 04/22(水) |
52 | Final Programのお知らせ | 2009 04/22(水) |
日本語 | ルクスパシフィカ 2009 開催のお知らせ | 2007年8月 |
ルクスパシフィカ 2009 講演募集のお知らせ | 2007年10月 | |
ルクスパシフィカ 2009 開催情報(ハバロフスクへの渡航手続き) | 2008年10月 | |
ルクスパシフィカ 2009 ハバロフスク大会 参加登録の期日・渡航手続き(改定版) | 2008年12月 | |
ルクスパシフィカ 2009 ハバロフスク大会プログラム(ドラフト) | 2008年12月 | |
緊急ご連絡 : ロシア照明学会への支払い中止のお願い | 2009年2月 | |
緊急ご連絡 : 従来と同じ日程でタイで開催します | 2009年2月 | |
緊急ご連絡 : バンコク大会開催情報(参加登録) | 2009年3月 | |
緊急ご連絡 : バンコク大会は開催します | 2009年4月 | |
英語 | Lux Pacifica 2009 (The 6th Lux Pacifica Conference)(開催場所・日時) | 2007年8月 |
Call for Papers : Lux Pacifica 2009 | 2007年10月 | |
Registration for Lux Pacifica 2009 (Khabarovsk): IESR (参加登録ウェブとのリンク) | 2008年3月 |
3.2009年度国際組織委員会の開催状況
2009年度国際組織委員会は4月24日に、第6回大会の会場であるバンコクのホリデイインシーロムホテルで開催された。南アフリカ代表のGustav Kritzinger氏を除く国際組織委員と、オブザーバーとしてオーストラリア・ニュージーランド照明学会の会長が出席した。タイ、中国、日本の代表委員には通訳が同席した。今回の国際組織委員会のメンバーリストを表3に示す。開催風景を図1に示す。
次回の2013年度の第7回大会は、再びタイで開催することに決定した。ただしバンコク以外の地方の都市、例えばチェンマイ、プーケットなどが候補地としてあがっている。
表3 Lux Pacifica 国際組織委員会 (2009年度 Bangkok 大会)
Functions | Countries | Names | Societies |
---|---|---|---|
Chairman | Australia | Warren Julian | Illuminating Engineering Society of Australia and New Zealand (IESANZ) |
Vice Chairman | Japan | Hajimu Nakamura | Illuminating Engineering Institute of Japan (IEIJ) |
Committee member | U.S.A | James Jewell | Illuminating Engineering Society of North America (IESNA) |
Committee member | India | Avinash Kulkarni | Indian Society of Lighting Engineers (ISLE) |
Committee member | China | Song Xian Jie | China Illuminating Engineering Society (CIES) |
Committee member | Thailand | Utis Chanchenchop | Illuminating Engineering Association of Thailand (TIEA) |
Committee member | Russia | Alexey Bartsev | Illuminating Engineering Society of Russia (IESR) |
Committee member | South Africa | (Gustav Kritzinger) | Illumination Engineering Society of South Africa (IESSA) |
Observer President of IESANZ | New Zealand | Roy Speed | Illuminating Engineering Society of Australia and New Zealand (IESANZ) |
( )No attendance
図1 国際組織委員会の開催風景(写真提供:Stephanie Julian氏)