東京都練馬区の閑静な住宅街に建つ、竹中育英会学生寮の建替計画である。敷地を最大限に活かし、個人での学習から地域との交流まで、多様な活動をゆるやかに繋ぐ木質空間とそれを包み込む有機的な形状の木造屋根と庭を持つ計画により、環境に優しく住み心地の良い居住空間を目指した。また、建築と自然の豊かな関係を生み出せるよう、各所に生物多様性保全のための仕掛けを設けている。高い外皮性能と高効率設備システムによりZEH-M Readyの認証を取得した。
照明計画では、寮室・共用部・外構、それぞれに最適な光環境を創るとともに、演出性(学生の住まいとして温かな木質空間とランドスケープの魅力を引き出す演出)と機能性(器具数と点灯時間を最小限にする省エネ性、 寮生が自身で管理できるメンテナンス性への配慮)に主眼を置き計画している。
色温度を2700~3000Kに統一した演色性の高い照明器具が、国産・多摩産の木質材料に反射した温かみのある光が中庭にあふれ出し、自然と調和させた光が帰宅する寮生を温かく迎え入れる住空間となっている。