日本文化の歴史が多く残る高槻市に位置する医薬品メーカーの福利厚生施設である。セキュリティが厳しい工場敷地内でありながら、地域に優しい施設としてイベントを開催し、大規模災害発生時には一時避難所として地域に開放される。『環境と人に優しい木陰の空間』をコンセプトに大屋根の下の開放的な広縁で人々が集う、日本的な環境建築を現代にアレンジした。
自然環境・地域環境・職場環境に優しい建物として、日本建築の特徴である内外空間の境界を無くし、人と人が気軽に繋がる大屋根の緑のテラスに温もりのある影絵のライトアップを行っている。外観は、植物の葉を『ゆらぎの影絵』として夜の街に出現させ、忙しい現代人にゆっくりとした『安らぎ』を提供している。カフェの『雲海天井』はアクリルと和紙を用い、雲が創る雲海の自然の造形を現代技術のアルゴリズムの計算プログラムによって生成し、自然が創る躍動感の『雲のうねり』や『雲と光の陰影』、雲の割れ目から注がれる『光雲』をデザインしている。
時として圧迫感さえ感じさせる大屋根を、優しい材と照明によって影を演出することで、自然な存在感をもたせている。特に、照明器具と屋根の間に植栽を置くことで、風、照射方向、植栽の位置により様々な光の演出が可能であることが高く評価できる。カフェの光環境は、豊かな自然光に合わせた雲海天井により楽しく心地よい雰囲気を提供している。