1982年に開所、41年の歴史を持つエーザイ筑波研究所の大規模改修工事である。2014年の免震・耐震改修工事に引き続き、研究本棟・東棟の内部改修、渡り廊下の新設を行った。「人と人、人とデータ、人と世界がつながる研究所」の実現を目指し、「ナレッジサーキュレーション」をコンセプトに掲げ、施設を刷新している。
機能的につくられた既存建物に対し、渡り廊下を新設することで生まれる回遊動線を「ナレッジサーキュレーション」と名付け、研究所全体に人の流れと多様な共創の場を生み出す計画である。
渡り廊下は、研究員同士や社外関係者との交流を促せるよう,人流シミュレーションを行いながら、自然採光で十分な明るさと開放性のある空間となった。
オーソドックスかつシンプルな建築照明デザインの手法であるが、昼光センサーや人感センサーと組み合わせることで時代にあった照明デザインへと昇華している。ほとんどの照明が直付け照明、ライティングレール取付の照明で構成されており、有孔折版パネルを多用した空間に対して相性が非常によく、かつメンテナンスや配置移動が容易に行えるという点が企業のオフィスビルの照明計画として評価できる。