芝公園に面して佇む、高級車を扱う総合商社の本社ビルである。この場所ならではのワークプレイスの創出と、北側の首都高速道路や南側の前面道路に対するショールームの表出が求められている。景色だけでなく、自然光、そよ風など、周辺環境の魅力を場所ごとに取り込めるように立体的にボリュームを積み重ね、空間的な関係性を構築した。エクステリアとインテリアを一体的にデザインし、この場所特有の魅力を最大限に引き出したランドマークである。
照明デザインにおいても、多様な場をもつ建築計画の空間特性を引き出せるよう、オフィスでありながら、あえて“斑”のある光環境を生み出している。執務空間では、フェイスの交換により照明部を自在に調整できるルーバ照明を開発し、窓周りは北側採光にて自然光を柔らかく取り込むことで、環境に調和した照明設計を行っている。
照明計画は、事業の特性を表した個性的なファサードおよびそれに付随する室用途を十分に理解した内容となっている。個々の部屋の照明計画がガラス越しに見えることで事業内容が一目でわかる考えられた計画になっている。建材と一体化した照明やメーカーフリーの無線制御システムなど新しい取り組みも今後の施設のベンチマークとなりえる。