熊本地震により熊本城は甚大な被害を受け、復旧工事完了まで約20年の時間が必要であった。まちのシンボルである熊本城の復旧工事を、被災した城内で文化財の復旧過程の見学を実現させる計画であり、復旧を見届ける20年間のみ存在できる仮設の空中歩廊建築である。
この建築を具現化するため、復旧工事中である特別史跡内の厳しい制限(地面掘削、樹木伐根、杭打ち不可、城内の継続的な工事に支障の無い計画等)をクリアし、熊本城の環境と一体となった佇まいを目指した。針の穴を縫うように城内に点在する空間を繋ぎ合わせて行く作業を繰り返す事で、全長350m、高低差21mの一筆書きの柔らかな弧を描いた見学通路を創りあげた。