西都市産杉材の多様な建築展開をテーマとしたプロジェクトで、庁舎の骨格となるエントランスから4層吹抜けの屋根架構や内装仕上げ材として市産杉材を積極的に活用、居心地のよい市民職員の協働・交流の場づくりと市産材の魅力を発信している。地域産業の活性化を促すために、市産杉材の調達や加工、組立、施工まで全てのプロセスを地元で完結させている。
エントランス・多目的ひろば、吹抜けの屋根面は、断面寸法の異なる3種類の杉材を格子状に組み合わせた木格子ブレースと鉄骨のハイブリッド架構とし、直天井とすることで意匠性と天井落下しない防災拠点としての機能性を両立させている。市民協働スペースや議場の、小径ルーバー材やフローリング材、内外壁面の杉板型枠打放コンクリートを通じて、視覚、嗅覚、触覚など様々な形で、市産杉材を感じられるデザインとしている。
ランドマークである庁舎において、市産材の魅力を十分感じる照明計画である。さらに、全体の調和や省エネ性も考慮されている。照明によって照らされた市産杉材による木格子ブレースが和の雰囲気をもたらし、地域性を印象づけることに成功している。トップライトからのグレアを感じさせない程度の小さな強い光が印象的であり、昼光と人工光の新しい併用方法だと感じる。