火葬炉9基・式場1室を備える大型斎場として、運営効率化のために、機能的な層状の間取り構成とし、1階はコンクリート打放し仕上げによる緊張感のある儀礼空間、2階は天然木仕上げによる暖かみのある待合空間としている。葬送の最も大切な時を過ごす告別収骨室は、お別れ儀礼の流れに伴って変化する柔らかい光で包み込まれ、人生の美しいプロセスを演出している。
建物中央には、「帯状の光庭」を配置し、太陽光を反射・伝搬するデイライトシステムを創り出し、「光の仕切り」となって、エントランス~告別~待合~収骨~エントランスと移動する葬送シーンを切替え、視線調整を図るとともに、斎場で過ごす空間に変化を組み入れている。
建物中央に設けられた光庭とそれを囲むガラス面は、昼光利用による省エネルギー化とともに、光の仕切りとして視線調整や空間を区切る役割としてうまく利用されている。また、告別・収骨室内は、天井に埋め込まれた大きなコーン型照明器具によって柔らかな光で満たされており、儀礼の進行に伴って光の色温度が変わる演出が施された空間は、最後のお別れに臨む会葬者の心情を静かに見守っているかのようである。