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日本工業規格の新規制定

 このたび、本学会にて作成したJIS原案が、日本工業標準調査会の審議をへて、平成22年1月20日に制定されましたので、概要を以下に紹介します。

日本工業規格 JIS Z 9110
「照明基準総則」概要

 本規格は、人々の諸活動が、安全、容易、かつ快適に行えるような視環境を作り出すための照明基準である。今回の改定は、従来の推奨照度だけを規定した照度基準から、それらに照度均斉度、不快グレア、演色評価数などの照明の質的要件を加えるとともに、以下に示すような、分野毎の個別の照明基準を包括し、それらとの整合をとることを目的とした。

− JIS Z 9111 道路照明基準
− JIS Z 9116 トンネル照明基準
− JIS Z 9120 屋外テニスコート及び屋外野球場の照明基準
− JIS Z 9121 屋外陸上競技場、屋外サッカー場及びラグビー場の照明基準
− JIS Z 9122 屋内運動場の照明基準
− JIS Z 9123 屋外、屋内の水泳プールの照明基準
− JIS Z 9124 スキー場及びアイススケート場の照明基準
− JIS Z 9125 屋内作業場の照明基準
− JIS Z 9126 屋外作業場の照明基準

本規格の特徴は、次の通りである。

  1. 様々な空間に応用できることを目的に、
    1. 屋内作業、
    2. 屋外作業、
    3. 構内の交通の安全、
    4. 環境の安全・保安
    の4つに区分して、基本的な照明要件を新たに規定した。
  2. 各施設、分野毎の諸活動については、上記を基にJIS Z 9110-1979照度基準の付表を整理し直すとともに、分野毎の個別の照明基準を引用して整理し直した。
  3. 推奨照度値は、作業領域又は活動領域に対するものを、推奨範囲の中央値で規定した。1つの分野に1つの照度という意味ではなく、選択を容易にする観点からである。また、照度均斉度も、作業領域又は活動領域に対する値で規定した。
  4. もし、視覚条件が通常と異なる場合には、設計照度の値は、推奨照度の値から、照度段階で少なくとも1段階上下させて設定してもよい。なお、照度段階は、照度の違いを感覚的に認識できる最小の照度の差異を、ほぼ1.5倍間隔として規定した。
  5. 屋内照明施設に対する不快グレアの評価は、屋内統一グレア評価方法(UGR)に基づいて、屋外照明施設に対する不快グレアは、屋外グレア評価方法(GR)に基づいて規定した。

 本規格と同時に、分野毎の個別の照明基準を活用し、良好な照明環境をより少ないエネルギーで達成できることを期待する次第である。

以上

日本工業規格 JIS Z 9126
「屋外作業場の照明基準」概要

 この屋外作業場の照明基準は、JIS Z 9125屋内作業場の照明基準と対をなす規格であり、2006年に第1版として発行されたISO/CIE 8995-3及びISO/CIE FDIS 8995-2を日本の実状に合うように修正し、一つにまとめた規格として新たに制定したものである。 本規格の特徴は、次の通りである。

  1. 基本的な照明要件として、作業中の作業者の安全性に関する照明要件を表5に、特定の作業場に関する照明要件を、表6〜表18に示した。これらは、主にJIS Z 9110に規定されていない個別作業領域の照明基準を規定するものである。
  2. 作業領域の照度のほかに、作業領域の設計照度に対応する周囲領域の照度を推奨し、作業者の視野内の輝度分布が調和のとれたものになるよう配慮した。
  3. 屋外照明施設の不快グレアは、CIE 112に規定された屋外グレア評価方法に基づいて規定した。
  4. 屋外照明設備からの漏れ光による人、植物及び動物への問題を最小にするために、CIE150に規定された屋外照明設備からの障害光の許容される最大値を、環境省光害対策ガイドラインに沿って、修正したものを規定した。

JIS Z 9125屋内作業場の照明基準と本規格とを合わせて活用されることを期待する次第である。

以上

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