(社)照明学会は、官庁・団体関係者のご協力のもとに、白色LED素子及びその集合体である、LEDモジュールの光度及び全光束を測定する方法を定めたJIS規格「日本工業規格JIS C−8152:照明用白色発光ダイオード(LED)の測光方法」(以下、本JIS規格とする)を制定いたしました。
白色LEDが開発され、その性能が向上するにつれ、照明関連でも応用・使用され始めました。しかし、LEDは従来の一般照明用光源とは種々の点で異なっていて、測光量を評価するに際しては、光束の絶対量が少ないこと、現在多く普及している白色LEDの分光分布が蛍光ランプなどとかなり異なること、などが測定上のあい(隘)路となって、測光値の確からしさが問題となっていました。そこで(社)日本電球工業会では、平成16年4月に「日本電球工業会規格JEL311:照明用白色LED測光方法通則」を規格化し、同年11月に同規格を照明関連4団体である(社)照明学会、(社)日本照明委員会、(社)日本照明器具工業会、及び(社)日本電球工業会の4団体共同規格としました。
本JIS規格は、4団体共同規格である「照明用白色LED測光方法通則」を基にして、測定対象を照明用白色LEDに限定し、標準LEDとの比較測定の方法を採用することで、容易かつ測定精度が保持可能な測定方法を提案するものです。これにより、照明メーカーやLEDメーカーをはじめ、より多くの関係者が統一規格として利用しやすい実用的な規格とすることができました。
今後は、白色LEDの更なる機能向上に伴う照明用への用途拡大とあいまって、この規格の内容を拡充して、国際規格化へ進展することを期待いたします。
白色LEDについての関心が高まりつつあった平成10年、国内では「21世紀あかり」開発プロジェクトが発足し、世界的な開発競争が開始される中で、照明の一部に使えるまでにLEDの効率が改善されました。将来LEDを一般照明に使用できるようにするためには、製品評価や製品安全性などの点で問題の起こらないような十分の事前準備が必要になるという考え方から、当時の通産省(現経済産業省)のご理解も得て、照明用白色LEDに限っての規格化委員会が日本電球工業会内に発足いたしました。その結果平成16年4月に、日本電球工業会規格 JEL311「照明用白色lED測光方法通則」として発行され、その後、より広く照明関連団体が利用しやすいようにと上記JEL311を元に、平成16年11月に照明関連4団体の合同規格として発行し、照明関連諸団体、及び関連企業でも利用しやすい体制にしました。市場での使用実績を積み上げる中で、関係方面から更に内容を充実した国家規格JIS化への要望が持ち上がり、(社)照明学会が中心となりJIS制定原案作成委員会を発足させ、今回のJIS発行に至ったものです。
LEDの普及当初はLED(単色発光のLED素子)の用途は表示用が主体で、LEDから放出される光が見えるか否かが重要でした。一方照明分野では、安全性や作業性の面から様々な性能基準が定められており、これらを正確かつ簡単に測定することが求められます。しかしLEDは今までの照明用光源とはいろいろな点で異なっているので、光の強さの測定法も照明用光源のやり方そのままでは不都合なことが多く、日本電球工業会の調査では、測定者が異なると同じLEDでも約30%にも及ぶ差が生じていました。これでは産業界で取引のための信頼性確保の上で大きな問題となります。
しかし日本電球工業会の委員会で実験調査を行って作成した規格(上記JEL311)を用いることで、そのような差を約3%以内に押さえることができることを確認できました。ただこのJEL311では、まだ測色方法が盛り込まれておらず、実用上不十分でした。今回のJISにはその測色方法を盛り込み、実用性を高めております。
(社)照明学会では「一般照明用白色LED光源測光方法JIS制定原案作成委員会」(委員長:中川靖夫(埼玉大学名誉教授))を組織し、関係官庁や照明関連諸団体、学会関係者の参加を得て、規格化いたしました。
委員会委員の構成は下表の通りです。
種別 | 参加団体名 |
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学協会、研究機関 | 経済産業省、日本規格協会、産業技術総合研究所、埼玉大学、 日本電球工業会、日本照明器具工業会、光産業技術振興協会、照明学会 |
照明メーカー | 松下電器産業、東芝ライテック、日立ライティング、岩崎電気、シャープ、 |
LEDメーカー | 日亜化学工業、スタンレー電気、フィリップス・ルミレッズ・ライティングカンパニー |
装置メーカー | トプコンテクノハウス、大塚電子、旭光通商 |
本規格の構成は以下の通りです。