普及部賛助会員ご紹介 ―各企業のさまざまな照明の取り組み―

施設事例−日産スタジアム

所在地

神奈川県横浜市港北区小机町3300

ホームページ

http://www.nissan-stadium.jp

1.施設概要

 日産スタジアムは収容観客人数7万2千のわが国最大の総合国際競技場です。2002年FIFAワールドカップでは決勝戦を含めた4試合が行われたメイン会場となり、現在ではJリーグ横浜F・マリノスのホームグラウンドとして使用されています。また、最近ではサザンオールスターズの30周年コンサートの会場で記憶された方もあると思いますが、大規模なコンサート会場としても知られています。

 そのほかに、日産スタジアムのグラウンド面は1100本の柱で支えられた高床式構造になっており、すぐ側を流れる鶴見川の水量を調整するための遊水池としても使用されています。

 照明施設は、国際レベルの競技大会に対応できる設備として、「見やすさ」「プレーのしやすさ」「報道のしやすさ」をコンセプトに照明設計を行ない、照明設備は高演色,高照度,低グレアを実現したものとなっています。

「見やすさ」については、総合陸上競技場の照明施設で主流であった照明鉄塔方式ではなく、スタンド観客席の全周に巡らされた屋根の下に投光器を設置する照明方式を採用し、投光器の照射方向と観客の視線を同じ方向にすることにより、観客に与えるグレアが抑えられ、非常に見やすい照明を実現しています。

 「プレーのしやすさ」については、競技場で行なわれる種目に応じて点灯する投光器の配置を決定しています。

 「報道のしやすさ」については演色評価数が自然光に近い高演色光源(Ra93)を採用することにより、忠実に色の再現ができるようになりました。これにより、カラフルな選手のユニホームや緑の天然芝が鮮やかに映し出され、快適な照明環境を作り出すことを可能としています。

 また、投光器が屋根の下に設置されていることにより、近隣施設に対して競技場の照明が障害にならないように配慮されています。

 フィールド照明には高演色形メタルハライドランプ2.0KWを824台採用、6種の点灯パターンで運用され、プロサッカー時は平均照度1500ルクス、ゴール前2000ルクスを確保、その他にサポータズライト,ウイナーズハイライト,スポンサー照明など多様な照明を配置し、利用者に快適な光環境を提供しています。

 
フィールド照明


スポンサー照明

日産スタジアムは器の大きさから維持費の面でも、スポンサーの支援が大切なものとなっています。スポンサー看板はスタジアムの構造上、フィールド照明用の投光器の奥に設置されているため、投光器の明るさにより観客席から見えにくいという問題がありました。これに対し、看板専用の投光照明器具を追加したものがスポンサー照明になります。


陶壁画照明(正面エントランスホール)

2.照明設備の内訳

フィールド照明

高演色メタルハライドランプ2KW×824台,ハロゲンランプ1KW×56台

点灯パターン 使用レベル 設計照度 点灯台数
サッカーI Jリーグ対応 1500Lx 440台
サッカーII 公式競技 1000Lx 320台
サッカーIII 一般競技  400Lx 144台
陸上I 世界陸上 1500Lx 620台
陸上II 公式競技  500Lx 220台
陸上III 一般競技  300Lx 120台

サポーターズライト

サイドスタンドのサポーター席を照明。選手との一体感を盛り上げる。

ウイナーズハイライト

試合後のヒーローインタビュー,セレモニー等に使用。(メインスタンド前)

観客席照明

メインスタンド,バックスタンドの客席を照明。清掃時の照明としても使用。

スポンサー照明

スポンサーの看板をムラ無く照明。観客へまぶしさを与えない範囲限定照射。


図 照明機器設置概略図

資料提供

小糸工業株式会社


編集感想

 横浜市民だけでなく多くの方に親しまれているこのスタジアムも今年で10年を迎えさまざまな記念事業も行われています。ボランティアの方によるワールドカップスタジアムツアーもサッカーファンにはたまらない体験が出来ると思います。皆さんもぜひ一度足を運んでみてください。

※詳しくはスタジアムツアーへ(http://www.nissan-stadium.jp/tour/