和の照明

「柊家」〜和のしつらい

 文政元年(1818年)の創業以来、多くの文人墨客に愛されてきた「柊家」。本館、新館の建築担当をした道田氏のご厚意により、見学会を行いました。本館は伝統的な和のエッセンスそのもの、間取りなど伝統的なスケールを守りながら細部にわたり手をいれ耐震、防音を施されておりました。本館リニューアルでは新たな発見が色々あり、その分、新館は新たな試みを実験しながら建築に携れたと道田氏はお話しでした。
 「本館」は、伝統的な和のエッセンスそのものであり歴史を積み重ねてきた本物。もてなしの心からくる「和のしつらい」が基本として建築空間のいたるところに感じられました。
 「新館」は、伝統的な和のデザインにいかに現代的な時代性を帯びさせるかが伺えて、陰影を残し、空間に余韻を与えるような「光の移ろい」が、空間のシークエンスにそって違和感なく存在していました。室内は一見何の変哲も無く見える本間のペンダント照明内に複数の光源を組み合わせ、配光そのものをデザインしていたり、広間の特注ライン照明はレンズを用いて光をゆるやかに制御したりと、伝統的な和の光を現代のテクニカルな設計思想でとらえ直す技術的な工夫が施されています。広間は第一印象がかなり強く残る、静寂さの中にも洗練された空間が広がっていました。
 この見学で機能、設えが細部にわたり行き届き伝統的な京都の「和のしつらい」を感じる事が出来ました。


 趣のある柊家玄関前 道田氏と歓談(新館広間にて)


本館客室川合玉堂書の居間 文豪川端康成贔屓の部屋


新館客室壁面柊の透かし模様 新館広間 新館客室居間の照明


所在地

京都府京都市中京区麩屋町姉小路上ル中白山町

施主

柊家株式会社
柊家旅館の詳細はHP(http://www.hiiragiya.co.jp/ja/

照明設備

新館広間 シームレスラインランプ FRT850×6灯 電球色(調光タイプ)
新館客室 シームレスラインランプ 40W×32灯(調光)

照明設備資料提供:

ヤマギワ(株)

建築家  道田 淳

有限会社エイト.エフェクト一級建築士事務所 代表取締役
1968年 京都生まれ。
1993年3月 芝浦工業大学工学部建築学科卒業。
1995年3月 芝浦工業大学大学院修士過程建設工学科卒業。
1995年4月 中国系アメリカ人の建築家I.M.Pei氏の元でMIHO MUSEUM(http://www.miho.or.jp/)projectに参加するため、設計共同体である紀萌館設計室に入社。主に、建築設計、日本アジア美術品エリア展示計画、サイン計画、プロダクトデザイン、プレゼンテーションの各部門を業務担当。
1997年末MIHO MUSEUM竣工後、退社し以後、会社設立までフリーランスで設計活動。
2001年6月有限会社エイト.エフェクト一級建築士事務所を設立。現在の業務内容 は、建築物の企画計画、設計、監理業務を中心に、家具、展示用品、什器等の製作、 特注品や備品類の企画開発に従事。